BBSの創業者・山﨑甲子士は、公認会計士として企業に関わってきた経験や当社の社長としてグループ各社の指揮をとってきた経験を踏まえて社員を前にさまざまな言葉を語ってきました。その一つひとつは、時が経ったいまでも私たちが進むべき方向を考える際の大きな指針となるものです。
BBSの創業者・山﨑甲子士は、公認会計士として企業に関わってきた経験や当社の社長としてグループ各社の指揮をとってきた経験を踏まえて社員を前にさまざまな言葉を語ってきました。その一つひとつは、時が経ったいまでも私たちが進むべき方向を考える際の大きな指針となるものです。
上手に波乗りするコツは、波頭の少し後ろに乗ること。波頭の先端では倒れてしまい、後ろすぎると乗ることができない。経営も同様であり、競争に打ち勝つためには、常に時代の先端を行く必要があるが、進みすぎると社会やお客様に受け入れてもらえない。社会環境や相手の状況を考え、半歩先を行くことが重要であるという創業者の言葉。
単品のみを売っていると、それが売れなくなったら先行き真っ暗となる。八ヶ岳のように複数の事業を持っていれば、1つの事業の業績が悪化しても、ほかの事業で経営全体への悪影響を最小にすることができる。また、各事業部門が独立採算で業績向上に努めるとともに、事業相互の協業によって相乗効果を上げることも重要である。創業者は、景気の波などで業績が悪化することは皆無ではないため、八ヶ岳経営が必要であると説いた。
ケーキの主な原材料は、小麦粉と砂糖。小麦からつくられた小麦粉とサトウキビからつくられた砂糖を混ぜて焼き、クリームや果物でデコレーションしてケーキは完成する。ケーキの値段は、原材料の合計金額をはるかに上回る。これは、ケーキの製造過程で価値を加えたからであり、顧客はその価値を認めて購入する。BBSグループも、多様なサービスを組み 合わせ、他社にまねのできない高付加価値サービスを提供するという意思を示した言葉。
売上を伸ばしていても、赤字が続けば銀行は資金を貸さず、企業は資金ショートで倒産する。企業が成長するためには、利益をきちんと出す経営を実践しなければならない。利益は、企業経営の成功の尺度と考えてもよい。ただし、利益は計算上の利益だけではいけない。資金を回収し、資金の裏付けのある利益を計上することが大切である。「勘定あって銭足らず」に陥らないために、営業担当者は資金回収まで責任を持つようにという教え。
変動費の対になる固定費は、売上の増減にかかわらず一定額発生する費用であり、人件費や販管費のほか、広い意味では本社ビルなど固定資産の取得費なども含まれる。変動費は、売上の増減に連動して増減する費用だが、時として固定化し、売上の減少時にも減らない場合がある。企業の業績は右肩上がりとは限らず、景気の波で減収となる場合もある。その時に固定費の割合が高いと赤字になり、倒産する可能性もある。減収でも利益を出し続けるためには、固定費の割合を抑え、損益分岐点比率の低いコスト構造を持った経営を心掛けるべきである。立派な本社ビルを建設した直後に経営が悪化した企業を見てきたことの教訓でもある。
会計データを細かく多面的に集計することだけが管理会計(計数管理)ではない。データを見た人が、行動につなげられるような仕組みが本来の計数管理である。その基本は、管理者に管理可能データを提供すること。創業者は次のような事例を話していた。例えば、建設会社は仮設材の損料計算の仕組みを導入している。仮設材の使用について、1日○○円、原則〇○日前予約で、緊急出庫は割増金○○円などと決めることで、現場責任者のコストに対する意識は高まる。仮設材が効率よく活用されれば、資材センターの在庫も少なくてすみ、コストダウンが図れる。
ピンを立てるは、ボウリング場の建設を請け負った建設会社のエピソードとして語った話である。施設の完成後、床ならしのため従業員にピンの立っていないレーンでボウルを投げさせたところ、重いボウルを持つだけでも苦痛で、やる気が出ず、多くがガターとなった。そこで、ピンを立てて投げさせると、とたんに皆が目の色を変えて投げ込んだという。人は心にピンが立っていないとやる気が出ないのである。企業においても社員それぞれに目標、特に計数目標を設定することによって、目標に向かってまい進する意欲がわく。また、結果を正しく評価する仕組みを導入することで、効果が継続する。創業者は、計数管理と人事管理は経営の両輪であると説明した。
企業は、社員一丸となって業績を上げていかなければならない。しかし、ともすると他部門が買ってくれるという他人依存体質が蔓延し、企業全体の業績が下降する場合がある。社内でも独立採算単位の範囲を出れば他人。その責任者は、仕入れなどにあたって社内の他部門と社外(市場価額)とを比較し、安い方を選択すべきである。一方の提供部門は、社外より安くできるよう工夫すべきである。相互の努力が業績の向上につながると創業者は説いた。
泥縄とは、泥棒を捕まえてから慌てて泥棒を縛るための縄をなうことで、準備不足や場当たり対策への戒めの意味もある言葉。しかし、仕事では予想のつかないことが起こることも多く、そうしたことに迅速に対処することも重要である。創業者は、自身の経験から課題が明確になり必要に迫られた時こそ、短時間で知恵を絞り、解決策を導き出せると語っていた。
一般的な旅客機は着陸して給油するため、時間のロスが発生する。企業が成長するためには、教育や投資が必要で、次のプロジェクトを始める前に、一定期間稼ぐのを中断して教育や投資に集中する方法もある。しかし、時間のロスを回避して目的意識を強く持った教育や投資を行うためには、プロジェクトを進めながらの空中給油方式が有効であるという教え。
人には長所と短所がある。そして組織には、さまざまな長所、能力を持った人が存在する。企業経営で重要なのは、長所を活かしながら適材適所を行うことである。個々の短所を封印し、長所を伸ばすことで、有効なチームワークが生まれ、強力な組織が形成される。また、長所を伸ばすためには、人を褒めて使うことである。褒め言葉は、人のやる気を増幅させ、コミュニケーションを円滑にする。創業者は社長在任中、信念としてこれを貫いた。
入社年度に応じて同じ給料を出す年功序列型の給与制度は平等と言う人がいるが、むしろ悪平等と言わざるを得ない。企業に貢献した人、しなかった人をきちんと評価し、貢献度に応じた報酬制度とする方がフェアであるとして、人事制度にも反映するようにした。
コンサルタントは、会計でもシステムでもよいので、人に負けない専門的能力と知識を身につける必要がある。創業者は、深い専門的能力と幅広い知識を持つ、いわばT字型の人間になってほしいと社員を激励した。
コンサルタントは、豊富な知識を持ち、さまざまな経験を積むことが重要。しかし、知識の切り売りであってはならない。知識の切り売りは人まねにすぎず、お客様は高い報酬は払わないだろう。知識と経験に基づいて知恵を出し、お客様が気付いていない課題にまで目を向けてその解決にあたらなければならない。これは、コロンブスの卵の逸話のように簡単なことではないが、コンサルタントのあるべき姿を説明する際にこの言葉を使った。