お客様講演では、ミサワホーム様で取締役 常務執行役員を務める堤内真一氏より、「ミサワホームの挑戦~デジタルを活用した新しい働き方~」として、取り組まれてきた働き方改革の歩みを紹介していただきました。
冒頭、堤内氏は同社の多様な事業や近年のトピックスを紹介。続いて、2018年から2年間にわたって推進した第一次働き方改革に話を移しました。この取り組みは、業務プロセスから制度、健康管理などを含む総合改革を実施し、すべての社員が生産性を高めていきいきと働き、働き方で業界のリーディングカンパニーを目指して進められたものです。
その特徴として堤内氏が挙げたのは、社長を巻き込むとともに、全社から年齢、性別、役職に関わりなく60名の兼任スタッフを選任。全員が自らの働く環境から改革テーマを提案し、活動を進めたことです。これは、プロジェクトの開始にあたって他社の働き方改革を数多く調査・分析して、社員の声を吸い上げる重要性などを成功法として導き出したことによるもの。こうした取り組みによって、いち早くテレワークを導入し、勤務時間を年間6万時間以上も短縮するとともに、資料作成へのRPA導入で作業時間を約2,000時間も削減。「健康経営優良法人」(通称ホワイト500)にも認定されました。
2020年に入ると新型コロナウイルス感染症が猛威をふるったことから、「Withコロナ 新しい働き方」をテーマに設定。Withコロナ時代を戦い抜く新しい働き方の実現に向けた改革を進めてきました。まずは、新しい働き方の基盤となる社員のITスキル・リテラシーを高めるため、社内ITスキル標準「ミサワデジタルスタンダード」を策定して教育を推進。全社員のデジタル活用能力の向上を図ってきました。また、Withコロナの働き方の基本となる非対面に対応した「ミサワマネジメント」の型としてデイリーマネジメントと評価マネジメントを確立し、周知徹底に注力。さらに、生産性の向上をめざして業務の標準化やペーパーレス化、電子印鑑の導入、フリーアドレスの採用なども行い、会社全体で業務時間は約26万時間、経費は年間約1億円も削減されています。
2021年からは、さらなるデジタル人財の育成と、デジタルを活用した生産性向上を業務部門主導で進め、AI活用による業務の効率化にも積極的に取り組んでいます。この取り組みも着実に成果を上げており、例えば従来は電話で対応していた社員からの問い合わせにAI FAQを導入することで、現時点で2割の業務削減が実現しています。
堤内氏は、こうした成果や工夫点に言及しつつ、「社員がリラックスしてかつ真剣に仕事をできる風土づくり」こそが大きな目標であると熱く述べて講演を結びました。