BBS絵画コンクール 第7回受賞作品

2024年開催

テーマは「あなたのすきな風景」。
今回は、BBS社員と小宮社長に加え、BBSのコーポレートムービーのデザインを手がけたアートディレクター・デザイナーの山崎晴太郎氏も選考に参加し、合計12点の受賞作品を決定しました。
山崎晴太郎氏の作品講評・全体講評とともに、豊かな表現力で描かれた、さまざまな「風景」をご覧ください。

BBS大賞

  • 「かっこいいねぶた」

    木村 侑柊さん(青森県)

    「かっこいいねぶた」

    テレビでねぶたまつりをやっているのをパパやママ、おねえちゃんと見ました。大きくてはく力があってかっこいいとおもいました。しかのねぶたがお気に入りです。

    山崎晴太郎氏のコメント

    並んでいるなかですぐに目に付くインパクトがありました。絵というのは、紙に対してちょっと小さくなる傾向が多いのですが、被写体がはみ出ていることからも、とても好きな気持ちが伝わってきます。ねぶたについて、テレビで見ただけでまだ見たことがないということですが、ぜひこの賞をきっかけに、連れて行ってもらってください!

晴太郎賞

  • 「いのちのジャンプ」

    荻原 純永さん(埼玉県)

    「いのちのジャンプ」

    ゆうやけの海で大ジャンプをしているクジラのふうけいをえがきました。海にはたくさんのいのちが生きていてきれいだと思いました。

    山崎晴太郎氏のコメント

    まず色がきれいですね。そして『いのちのジャンプ』というタイトルについて、絵というのはいろいろな解釈の仕方があり、一つのタイトルでその絵をどうやって感じさせるかということで決まっていくなかで、とても素直な表現で、非常に全体のバランスが良かったです。作者のすごく好きな気持ち、全体の構図、躍動感がすごく良いバランスだと思います。

優秀賞

  • 「空港に急ぐ特急列車」

    塙 悠太郎さん(神奈川県)

    「空港に急ぐ特急列車」

    ぼくは電車が大好きです。成田空港に行くときに、成田エクスプレスに乗るのと京成スカイライナーに乗るのとどちらが速いのかな?競争してみたらわかるかな?と思って、電車が競争しているところをかきました。

    山崎晴太郎氏のコメント

    本当に素直でいい絵ですね。実際にこうやって並んでまっすぐ電車が走るところがあるかはわからないのですが、自分が好きなものをストレートに表現できるところが絵の世界の良いところだと思っています。電車がまっすぐすごいスピードで走っていると思っているんだなというのが伝わってくる、とても魅力にあふれた絵だと思います。

  • 「いつもの放課後の風景」

    佐々木 うたさん(福島県)

    「いつもの放課後の風景」

    影と光が区別できるようにしました。放課後は窓から光がさしこんで影と光がはっきりと分かれるのでいつもの放課後の風景をよりリアルに書けるように頑張りました。アクリル絵の具とクレヨンを使い、より影と光がはっきり分かれるようにしました。友達が吹奏楽部で楽器を吹いているのをいつも帰りに見かける風景を書きました。

    山崎晴太郎氏のコメント

    表現力が高い、とても上手な絵だと思います。この構図、シーンというのが、作者の中にしかないもので、大人たちがどこか忘れてしまったけれども懐かしさを感じるような、すごく魅力的な絵になっています。自分にしか描けないもの、自分にしか気づけない視点のようなものがとても大切だと思います。そういった意味で評価させていただきました。

  • 「森の中」

    赤羽 紬さん(神奈川県)

    「森の中」

    オオハシが森の中で花に囲まれて歌っている様子。

    山崎晴太郎氏のコメント

    とても生命力にあふれていてすごく良い絵だと思います。お花もきちんと丁寧に描けていますし、何よりこの、好きだという気持ちの部分が全面に出ているエネルギーに溢れている、とても素敵な絵だと思います。

  • 「サーモン66カンとマグロ2カン」

    松井 平さん(神奈川県)

    「サーモン66カンとマグロ2カン」

    ぼくはおすしが大好きなのでおすしがたくさんならんでる風景がみたいと思ってかきました。

    山崎晴太郎氏のコメント

    インパクト賞ですね。気持ちがあふれんばかりで、サーモンが好きなんだな、マグロが次に好きなんだなと。こういう絵って、見る人すべてを笑顔にする絵だと思います。絵はコミュニケーションのツールでもあると思うので、周りの人を元気にする絵というのはどんどん描き続けてほしいなと思います。

佳作

  • 「僕たちが迷いこんだ不思議な世界」

    田中 優羽さん(兵庫県)

    「僕たちが迷いこんだ不思議な世界」

    ある日、夢の中で、不思議な世界にいました。親友のカワウソのコツ君、キリン君らと一緒に迷いこんでしまいました。そこには、見たことのない魚たちが、たくさんいます。ひとつひとつにあいさつをし、みんなと友人になりました。こんな世界に、また、夢で行ってみたいです。

    山崎晴太郎氏のコメント

    まだ8歳とのことで大変驚きました。とってもよくできていて、イラストとして完成されていますよね。絵の習熟の仕方って、いわゆる守破離といった話で、写実的に描写して、それをデフォルメして、自分の型になっていくという順番があると思いますが、それがかなり先まで進んでいます。タッチも含めて自分自身のものになっているなと思います。今後、デザイン業界で会うことを楽しみにしています。

  • 「雪原の木」

    林 実乃理さん(神奈川県)

    「雪原の木」

    ゆきのふる日に1本木が立つときれいだと思ってこのえをかきました

    山崎晴太郎氏のコメント

    白い紙の上に白い物をテーマに描くというのは、非常に覚悟のいるテーマだと思います。日本画や水墨画などがそうですが、雪であったり月であったり、それ以外を描いて白を際立たせるということがありますが、そこに片足を入れている。非常に強いテーマ性と意志を感じました。個人的にすごく好きな作風です。

  • 「桜並木」

    吉井 陽花さん(大阪府)

    「桜並木」

    私は桜の季節が大好きです。毎年春になると、家族皆でお花見をします。この絵は数年前の、まだ弟と妹が小さい頃、兄弟でかけっこした時の絵です。

    山崎晴太郎氏のコメント

    全体のバランスが非常に良い作品だと感じました。やっぱり、絵とは伝えたいものがあって、そのあとにテクニックであるとか構図であるとか、いろいろな要素がかみ合ってできていくのですが、その成熟の過程にありますね。大切にしている風景が目の前に広がってくる。技術、構図、色の使い方と非常に高いレベルにあると思います。

  • 「夏に見たきれいな滝」

    髙木 優衣さん(大阪府)

    「夏に見たきれいな滝」
    山崎晴太郎氏のコメント

    滝の白が主役になっているというところで、潔い絵だなと思いました。絵に白い部分があると人間って不安になってしまうんですよね。なかなかこのように白を残しながら作品を仕上げるのは難しいのですが、そういった意味で、非常に強い気持ちで絵を仕上げていると感じました。

  • 「カメラ越しに見た木」

    河鍋 有馬さん(栃木県)

    「カメラ越しに見た木」

    夕日にうつる木をキレイに描くため色づかいにこだわりなおかつカメラ越しに描くという工夫を加えた。

    山崎晴太郎氏のコメント

    これは非常に今の時代に示唆的というか、大人はちょっと考えさせられる作品ですよね。「あなたのすきな風景」というもの自体がカメラロールの中にある。その風景も夕暮れ時。技術や描いたものももちろんそうですが、この切り取り方は、非常に強い時代的なメッセージ性があるなと思いました。

  • 「1ばん大きくて、サクサクのメンチカツこい!」

    鷹取 遵さん(兵庫県)

    「1ばん大きくて、サクサクのメンチカツこい!」

    ぼくは小学校が大すきです。休みじかんやじゅぎょうもたのしいけどきゅうしょくのじかんが1ばん大すきです。ならんでいるときには、「1ばん大きくて、サクサクのメンチカツこい!」といのっています。ぼくのねらっていたメンチカツを入れてもらえて、ワクワク・ドキドキしているところをかきました。

    山崎晴太郎氏のコメント

    こちらは給食のシーンですね。すごくストレートで良い絵だなと思います。けっこう太い筆致なのですが、その中でも、かなり細かく観察して描かれている。構図もきちんとまとまっていて、のびのびと描かれた魅力的な絵になっていると思いました。

全体講評

今回初めて審査をやらせていただいたのですが、すごく新鮮な気持ちで楽しかったです。
僕自身も小学校の時に絵画教室に通っていたなとか、絵画教室の帰り道こうだったなと思い出しながら、楽しく見させていただきました。

「絵を描くこと」は、人間の根源的な要求の一つだと思っていて、自分自身が世の中をどう見ているのかとか、どういうふうに表現したいのかが、一枚の紙の中に詰め込まれていく、それによって世の中に何かを伝えていくものだと思います。しかし、そういったものが大人になっていくと、どんどん余計なことを考えてしまう。「これって評価されるかな」「これって誰かに喜んでもらえるかな?傷つけないかな」とか、いろいろなことを考えてしまいがちですが、そういった意味で、皆さんがピュアな視点で絵に向かって描写をしている、というのがすごく印象的でした。

いろいろな視点で評価をさせていただきましたが、コンクールというのは「広い空間の中でたくさんの絵を短い時間で見る」という性質があるので、どうしてもインパクトであるとか、絵の強さみたいなことが評価をされがちかなと思います。だけど、今回入賞しなかった絵も、それぞれにそれぞれの良さがあるなというふうに思いましたし、これからも絵を描くことに取り組んでいただけたらいいなと思います。

絵を描くことについてのヒントという話ですと、今回、技法が縛られておらず、小学生から中学生まで、かなり幅広い世代が対象、かつ表現の技法も自由、例えば油彩だったり水彩だったり色鉛筆だったり、あとデジタル絵があったりと幅広いコンクールだなと思ったのですが、どの手段を選んだとしても、自分自身にしか描けないものって何かな、と考えてもらえると良いと思います。身近に技術的に上手な人がいたりすると、それに影響を受けて、自分もそういう風に描いちゃおうかなとか、真似してみようかなと思うこともあると思いますが、やっぱり本当に人の心を打つもの、人の気持ちを動かすものというのは、自分自身にしか描けない絵だったり、自分自身しか見ていない視点だったりすることが多いので、そういった部分もちょっと気にしながら、これからも絵を楽しんでいただけたらいいなと思います。皆さんご応募ありがとうございました。

山﨑晴太郎(やまざき・せいたろう)

山崎晴太郎(やまざき・せいたろう)

アートディレクター・デザイナー
株式会社セイタロウデザイン代表。

立教大学卒。京都芸術大学大学院芸術修士。ブランディングを中心に、グラフィック、WEB・空間・プロダクトなどのアートディレクションを手がける。「社会はデザインで変えることができる」という信念のもと、各省庁や企業と連携し、様々な社会問題をデザインの力で解決している。グッドデザイン賞金賞をはじめ、国内外の受賞歴多数。各デザインコンペ審査委員や省庁有識者委員を歴任。2018年より国外を中心に現代アーティストとしての活動を開始。TBS「情報7daysニュースキャスター」、NTV「真相報道 バンキシャ!」にコメンテーターとして出演。主なプロジェクトに、東京2020オリンピック・パラリンピック表彰式、旧奈良監獄利活用基本構想、JR西日本、Starbucks Coffee Japan、広瀬香美、代官山ASOなど。
株式会社JMC取締役兼CDO、大洋印刷株式会社社外取締役、株式会社EVISION社外取締役、株式会社プラゴCDO。

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