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前回のコラム「失敗しない会計パッケージ選定のポイント」では、会計システム選定のポイントについて3つの観点より述べてきました。
今回のコラムでは、会計システムの導入プロジェクトのポイントについて述べていきたいと思います。
会計パッケージ導入のポイントとしては、次の3点が重要であると考えます。
パッケージにおける要件定義は、一般的にはFit&Gap分析という工程で実施されます。
オーダーメイドシステムの開発とは異なり、パッケージ導入が前提であるために、多くは現状分析という工程をとくに設けず、ベンダーが説明するパッケージ機能や操作フローをユーザー企業側が理解し、対応する現状業務と対比することでGAPを洗い出していく方法が採られます。したがってオーダーメイドシステムの要件定義では行われている「現状を正しく認識することで適切に問題や課題を抽出する」プロセスは、Fit&Gap分析工程の前までに実施することが求められます。このためユーザー企業側としては、現状と改善点を踏まえて網羅的にパッケージとのGAPが洗い出せるよう、あらかじめ以下の項目を準備しておくべきと考えます。
項目 | 目的 |
---|---|
現行業務一覧、フロー | 現行業務の見える化、課題・問題の認識、改善点の設定 |
現行画面一覧、帳票一覧、レイアウト | 現状の棚卸しと必要性確認、課題・問題の認識、改善点の設定 |
現行コード種類、コード一覧 | 最新の現状整理、課題・問題の認識、改善点の設定 |
現行システムインターフェース一覧 | 最新の現状整理、課題・問題の認識、改善点の設定 |
また、新業務設計については、パッケージ導入プロジェクトにおいてはユーザー企業側による主体的な推進が前提となりますが、残念ながらさまざまな事情で適切に行われないこともあり、網羅的に業務推進の実効性を検証できず、本番で問題が頻発してしまうという悲劇に晒されてしまっているケースもあります。会計システムの入れ替えは単なるシステムリプレイスというだけでなく、会社組織レベルを含めた大きな変革をともなうケースが多くあります。このため改善後の新業務を新システムで円滑に運用するためには、システム導入の検討段階で業務フローを整理することが重要であり、現行業務を動かしているフローと全体計画における改善事項、パッケージの操作フローの3点を踏まえ新業務フローとして整備する必要があります。以下のような新業務設計については、基本的にはFit&Gap分析工程のなかで完了するよう組み込みが必要となります。
項目 | 用途 |
---|---|
新業務一覧、フロー、処理手順 | 「現行+改善点」から見た検証、業務マニュアル、テストシナリオ |
新画面一覧、帳票一覧、レイアウト | 「現行+改善点」から見た検証、業務マニュアル、テスト項目 |
勘定科目体系図 | 「現行+改善点」から見た検証、業務マニュアル、マスタ設計 |
組織管理体系図 | 「現行+改善点」から見た検証、業務マニュアル、マスタ設計 |
取引先管理体系図 | 「現行+改善点」から見た検証、業務マニュアル、マスタ設計 |
会計データの分析軸と体系図 | 「現行+改善点」から見た検証、業務マニュアル、マスタ設計 |
メニュー体系図 | 業務マニュアル、マスタ設計 |
ユーザーの役割と設定権限 | 業務マニュアル、マスタ設計 |
業務変更事項一覧、スケジュール | 規定やルールの変更事項、変更スケジュール |
マスタ設定については、次のように段階的に進めていく方法によって、設定ミスのリスクと負荷を軽減して着実に進捗させることができると考えます。また段階的にベンダーのレビューを受けることで、パッケージシステムの設定として問題がないことを確認して、手戻りがないよう進めることができます。
項目 | 具体的な作業内容 |
---|---|
マスタ基本設計 | 勘定科目などコード種類ごとの体系整理、詳細設計方法の定義 |
マスタ詳細設定計画 | 詳細設計方法に基づく詳細設定工数の見積、スケジュール化 |
マスタ設定実施 | スケジュールに沿った作業の実施 |
パッケージシステムとはいっても、実現すべきことは“多くの手間をかけている足元のシステム”より大きく前進して、はるかに高度な仕組みとなっています。目標達成に向けては、ユーザー企業側が全体計画をはじめプロジェクト推進計画を能動的に策定し、必要なスキルとパワーを持つ要員を確保して実行管理を行うことが肝要です。
またシステム導入というものは一時的にユーザー企業側の要員体制の増強が求められますので、そういう意味で実質的に対応可能な経験値の高いパートナーの選定を行うことも成功要因の一つになると考えます。
このコラムは3回にわたりましてパッケージ導入プロジェクトにおける問題の原因、選定のポイント、導入プロジェクトのポイントを述べてまいりましたが、陥りやすい問題や不足しがちな点にスポットを当てているために、ここに記載できていないこともたくさんありますが、皆様のプロジェクトにとりまして少しでも参考になりましたら幸いです。
最後に、拙い文章で読みにくいところも多々あったと思いますが、お付き合いいただきましてありがとうございました。
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