アジア地域ではなぜ業務改革が進まないのか? ~Part 1~

はじめに

日系欧米法人では抜本的な業務改革を進め、効率化、管理基盤の精度向上を図っている企業が多い一方、日系アジア法人では同じような改革が進まないといわれますが、それはなぜでしょうか?
ここでは、2つの観点で考えてみたいと思います。

日本人管理者の関与度合い

まず1つ目は、業務改革のカギは日本人管理者の関与度合いに大きく依存するということです。本来、営業や生産管理などを専業として駐在している日本人管理者が、いざ改革を実行しようとしても、その多くは現地担当者任せとなってしまいます。
結果として、現地担当者が改革の真意を汲まずに進めてしまい、本来求めていることとは違う方向に進んでしまうのが落ちです。
そもそも会社設立時点において、現地のことだから現地スタッフに任せればいいとして出来上がった業務プロセスを変革するためには、同じやり方は通用しません。

目標・ゴールを設定し、現地日本人管理者が強力な推進力を持って進めていく必要があります。
また、その推進役として、我々のような外部を利用することも有用ですが、ポイント、ポイントで現地担当者の士気を上げるのは、やはり現地のトップである日本人管理者である必要があります。

現地担当者の特性

2つ目の観点として、欧米とアジアを比較しながら、業務改革に対する意識について見ていきます。

欧米系

プロフェショナル意識が高く、自主的に改善していく気質があります。
また、改革による効率化の定量的・定性的効果をアピールし、その生産性向上の評価を報酬に求める傾向にあります。

アジア系

改革による効率化に対しては非常に保守的です。
効率化されることにより自身の仕事がなくなることは、自身の存在意義がなくなるという危機感を抱くためです。

このような気質の違いが、アジア地域では業務改革が進まない要因の一つとなります。

ある現地担当者の場合、一見、表面上は効率化が図られ、これまでの業務が不要となったにもかかわらず、実は裏では不要となった業務を従来と変わらず並行で行っているというケースもあるようです。
これは、現地担当者は言われるがまま新しいやり方を受け入れたものの、新しいやり方によって、なぜこれまでの業務が不要になるのかを理解できていないということが背景にあります。

上記の2つの観点より、なぜ変えるのか、何が変わるのかを現地担当者に理解させながら、現地日本人管理者が強いリーダーシップを発揮し、改革推進への参加意識を高め、改革の成功の結果を賞与・昇給に反映し、「改革でこれまでの自分たちの業務がなくなることは各人自身の存在意義がなくなることではない」と意識付けることも重要です。

次回は、現地担当者の改革への取り組み姿勢に着目し、層別にどのような特徴があるか、どのように対処していく必要があるかを見ていきたいと思います。