High Value BPO サービス
今年の夏の甲子園、第105回全国高校野球選手権記念大会は、神奈川県代表の慶應義塾高校(以下、塾高と記す)が、107年ぶり2度目の優勝で幕を閉じました。決勝では、2年連続優勝をねらった宮城県代表・仙台育英高校に勝利しての悲願達成となりました。また、塾高は、高校野球界に「新時代の到来」とニュースになるほどユニークな取り組みをしていたことでも知られました。今回のコラムでは、日本一を果たした塾高の取り組みを分析しながら、BPOビジネスとの共通点を探ってみたいと思います。
横浜市日吉にある塾高の練習グランドには「KEIO日本一」の横断幕があります。言葉が持つ「言霊(ことだま)」の力とでもいうのでしょうか。有言実行、見事に優勝を果たしました。世間では、“Enjoy Baseball”といわれていますが、彼らは勝利のために真剣です。楽しむからといって、笑ってやっているわけではありません。“Enjoy Baseball”の神髄は「楽しむために一生懸命やろう、そのために自分でしっかり考えて、自分たちの野球をつくり上げていこう」という“Thinking Baseball”にあります。丸刈りが「当たり前」だった髪型の見直しも、その一つです。野球をするために本当に必要なのか、選手たちが考えた末の結果です。主将の大村君はこう言っています。「勝つことで、考える野球が勝利をもたらすことを証明しないと意味がない』と。今回は夏の甲子園で優勝し、それを証明してくれました。高校の部活動ではありますが、その組織としてのあり方は、ビジネスの世界における“パーパス経営”に通じるところがある、との論評もあるほどです。
今回優勝に導いた森林監督の手腕も高く評価されています。Enjoy Baseballを掲げた森林監督は塾高野球部のOBですが、進学した慶應義塾大学でも学生コーチとして塾高野球部の指導にあたり、その後、進学した筑波大学の大学院でコーチングを学びました。森林監督は、勝つことを目的とする“勝利至上主義”に加えて、選手一人ひとりの人間的な成長を第一とする“成長至上主義”も掲げています。スポーツの本質は「遊び」ですが、その「遊び」を真剣にやることが個人の成長につながる、との持論です。森林監督は、野球以外の分野、他のスポーツや会社の経営者の方々との情報交換も重視しており、その考え方を高校野球に取り入れています。野球がビジネスからヒントを得られるのであれば、ビジネスも野球からヒントを得られるはず。これが今回のコラムを書くきっかけにもなっています。
高校野球界に新風を吹き込んだ塾高野球部と、弊社でBPOビジネスをリードするBPO統括本部の共通点を2点挙げてみます。
塾高は107年ぶりの甲子園優勝、ということで、古豪という分類になります。伝統あるチームで野球をしたい若者が多く入部しています。伝統を踏まえながら、新しい野球をつくりたいと願う若者たち、といった方が正しいでしょうか。
一方の弊社、ビジネスブレイン太田昭和も、後に昭和監査法人(現EY新日本有限責任監査法人)の初代理事長となる公認会計士の山﨑甲子士が1967年に設立した会社です。また、発足当初から創業の地・浜松で給与計算のBPOを受託するなど、BPOも50年の歴史があります。会社としては“バックオフィスサポーターNo.1”、BPOのビジネスでは“High Value BPO”というコンセプトを掲げ、従来の標準的業務のBPOに加え、難易度の高い業務の遂行や、継続的な業務改善、DX化を支援しています。このビジネスモデルのなかで、自分のコアスキルを磨き、活かしたい、というメンバーが集まっています。従来型のBPOビジネスに“新風”を吹き込みたいと願う多くのメンバーが集う、これが第一の共通点です。
■BPOの原点:1950年代 給与計算キーパンチ業務(浜松)
(BBS 50年史より引用)
森林監督が掲げたEnjoy Baseballという概念も、弊社のBPOビジネスに通じるものがあります。甲子園で決勝を戦う選手たちに「ピンチになってもその状況を楽しめることに感謝しよう」と森林監督がおっしゃっていましたが、BPOも同じです。
弊社のBPOはその中身を見ると、決算や支払業務、給与計算など、決してミスの許されない、重要な業務、毎日がプレッシャーの連続となる業務がメインとなります。このプレッシャーを楽しめる人でないと、BPOビジネスはやっていけません。「正確な業務遂行に真剣に取り組み、また高品質かつ効率的な業務への変革追求を楽しめる人」こそ、弊社のBPOにフィットする人財といえます。厳しいBPO業務を楽しむために、業務に真剣に取り組む。Enjoy BaseballならぬEnjoy BPOこそ、弊社のBPOスタッフが成長していく力の源になっていると考えます。
BPOは創業開始からまだ50年、野球に比べて半分程度の歴史です。今回の塾高の107年ぶりの優勝は、100年スパンで物事を捉える、良い機会となりました。また勝利だけでなく、“成長至上主義”を掲げた結果、それが勝利に結び付いたことも興味深い出来事です。令和時代の若者の多くはこうした「成長しよう」という声に応えてくれます。BPOも人が中心の“ピープルビジネス”。弊社もメンバー一人ひとりの成長を第一とし、その結果として“バックオフィスサポーターNo.1”を達成できるよう、さらに邁進してまいります。どうかご期待ください。
参考文献:『慶應義塾高校 栄光への軌跡/世界文化社』『Heroes2023慶應義塾高校/朝日新聞出版社』
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