【入門】フローチャートを学ぶ 基本編

WinActorで業務を自動化する際、いきなりシナリオをつくり始めていませんか?

実は、RPAのシナリオを開発する専門家は、どんなに急ぐ場合でも、「フローチャート(フロー図)」と呼ばれる、業務や処理の大枠の流れを図にしたものを最初につくります。急がば回れ、という言葉もありますが、専門家は結果としてそれが最短の道である、と知っているからです。

フローチャートは、専門家をめざす人が最初に学ぶほど基礎的な内容で、慣れれば業務の整理やRPAシナリオの開発にも非常に役立ちます。

そこで、2回に分けてフローチャートの概要を紹介するとともに、その作成方法に触れていきます。

フローチャート(フロー図)とは?

処理や行動の流れを記号と線を利用して表現した「流れ図(フロー=流れ、チャート=図)」のことです。
流れ(フロー)を視覚化することで、考えを整理できるだけでなく、俯瞰して全体を把握・理解できるようになります。

【作例】「レストランに行って食事をする」

この行動を記号を用いてフローチャートにすると以下のように表せます。

【作例】「レストランに行って食事をする」

記載するレベルにより、業務も処理も表せます。
業務の流れを書く時も、シナリオの流れを書く時も、同じ記号を使って表すことができます。

処理の抽象度を高めれば、業務フローが書けます

※部や担当者ごとに分けて書くことが多いです。

業務フロー

処理の単位で書けば、RPAの処理も表現できます

業務フロー(処理単位)

フローチャート型RPAのWinActorは、フローチャートが書けるとシナリオがつくれる

WinActorは画面を見ると一目瞭然ですが、シナリオはフローチャートの構造と一致しています。
つまり、フローチャート作成スキルがWinActorでのシナリオ作成には必要なのです。

WinActorシナリオ作成

いつ作成するか?

シナリオ作成前にフローチャートを作成しましょう。

メリット

  • 業務の整理・把握ができ、人が行う作業とRPAで行う作業の切り分けを的確にできます。
  • WinActor上ではシナリオに置き換えるだけで済むため、より効率的にシナリオ作成ができます。

フローチャートのルールとつくり方

フローチャートのルール

  • 処理内容は処理記号のなかに書く
  • 処理はシンプルに書く
  • 処理は上から下、左から右へ流れるように進む
  • 記号同士を矢印で結び、順序を表現する

フローチャートのつくり方

  1. 動作の洗い出し
  2. 記述レベルの整理=構造化の実施
  3. 動作を時系列に並べる
  4. 動作を分類別に分け、それに合う記号で整理する
  5. フローチャートを作成する
  6. フローチャートを確認し改良する

フローチャートは主に下記5つの記号と3種類のパターンを使って全体の流れを表現します。
フローチャートの記号と意味は以下のとおりです。
※今回は代表的な「日本工業規格(JIS)」で定義された、よく使う基本記号を紹介します。

基本記号

処理=動作と捉えてください。
フローチャートとひとことでいってもデータフローチャート、業務フローチャート、システムフローチャートなどさまざまなものがあり、処理をどのようなレベルで記述するかによって、それぞれのフローチャートを書くことができます。

フローチャートの代表的パターン

パターンは「順次」「分岐」「繰り返し」の3種類です。

フローチャートの代表的パターン

フローチャートを書いてみる ―基本編―

前述のルールとつくり方に沿って、以下の3パターンのフローチャートを書いてみましょう。

【例題】

順次
例題1:家を出るまでのモーニングルーティン

分岐
例題2:家を出る前に天気予報を確認し、雨が降るならば傘を持つ

繰り返し
例題3:満腹になるまでパンを食べる

完成後、この後に記載している解答例を参考に、以下の観点で採点してみてください。

【採点ポイント】

  • 時系列に行動が並んでいること
  • 分岐(繰り返し)の条件が正しいこと
解答例
解答例

フローチャートを書いてみる ―応用編―

以下のフローチャートを書いてみましょう。

【例題】

例題4:100円玉を3枚持って、神社のおみくじで大吉をゲットしにいく場合
条件1:おみくじ箱には大吉以外(中吉、吉、小吉、凶)も含まれています
条件2:おみくじ1回の料金は100円です
条件3:使用できるお金は100円玉3枚です

解答例
解答例

最後に

いざフローチャートを作成しようとすると、自力で考えることが困難な場合も多いかと思います。
その際におすすめなのは、とにかく反復練習することです。

例えばGoogleの検索バーで「フローチャート 練習問題」と入力し検索すると、多くの例題が出てきます。
それらの例題を、解答例を見ながら書き写していきましょう。

見本のプログラム(フロー)を写していく学習法は「写経」とも呼ばれ、開発業界では新入社員に実践させる学習方法の一つです。
何度も取り組んでいくうちに、アルゴリズム(=問題解決までの手順)が身に付いていきますので、ぜひ身近なところから始めてみてはいかがでしょうか。

フローチャートを学ぶ 応用編もぜひご覧ください。