データ活用を促進することを目的としたデジタル改革関連法が2021年9月に施行され、これまで書面の作成・交付が義務付けられていた契約の電子化が認められました。
さらに、電子契約の活用を後押しする法律改正(2024年1月施行の電子帳簿保存法改正)もあり、今後ますます電子契約の活用が推進されると見込まれます。
電子契約とは、電磁的に締結する契約行為のことになります。 具体的には、インターネットを介して契約する方法で、書面契約とは異なり契約締結までに時間がかからないことや、インターネット上で電子署名することで完結することから、IoT化の進む近年、注目を集めています。
▼公益社団法人日本文書マネジメント協会(JIIMA)による電子契約の定義
「電子的に作成した契約書を、インターネットなどの通信回線をもちいて契約の相手方へ開示し、契約内容への合意の意思表示として契約当事者の電子署名を付与することにより、契約の締結を行うもの」
取引先が電子契約サービスを利用しているからなど、世の中の流れに乗ることも重要ですが、自社において「なぜ電子契約を導入したいのか」を確認します。
コスト削減や契約業務の効率化、ワークフローによる契約業務の迅速化などの課題解決に向けた目標を明確にするために、原稿業務の課題をしっかり洗い出します。
「どの契約を電子契約に切り替えるのか」「どの契約の電子化が必要なのか」を整理・検討します。
社内のすべての契約を電子化することが最終目標ではありますが、最初からすべての契約を電子化することは、社内の混乱を招いてしまいます。優先度や重要度、使用頻度などから電子化すべき契約を整理します。
自社の業界に特化した契約や公共機関、役所などとの契約の際には、必要なレポートもありますので対応の有無も確認します。また、契約では2社間のパワーバランスにより利用料・登録料など初期導入コストを負担せざるを得ないこともありますので、自社だけではなく、相手先の導入や運用のコストについても利用条件を含めて確認が必要です。
書面から電子へ変更することで、運用方法や承認経路の変更が必要となることもありますので、現行と新規を比較検討し、変更点を洗い出して確認します。
社内での責任の所在や承認の流れは、社規や社則の変更をともないますので、併せて確認が必要となります。
電子化する契約範囲、利用するメンバーが決まったら、利用者以外も含め社内周知を行います。
社規や社則の変更もありますので全社内に電子契約の利用をアナウンスします。事前に社内アナウンスすることで、スムーズな業務移行ができます。
会社の規模や契約管理の方法にもよりますが、本店や支店、営業所にて個別管理している場合、エリアを限定したトライアル導入や段階導入も有効であり、地域特性も考慮した導入・移行計画を立てることで、運用後の課題解決・対応もしやすく、スムーズな移行が可能になります。
相手先・取引先へのアナウンス・案内が必要になります。
自社において電子化の準備が整ったとしても相手先の理解や合意が得られなければ、契約の電子化はできません。
取引先に電子契約を導入する目的を伝え、理解・承諾を得ることが必要となります。
取引先への説明では、選定した電子契約の安全性や操作性、コストなど、双方のメリットを伝えて理解・合意を得ます。
トライアル運用を経て課題・問題点が解決すれば運用を開始します。安定稼働、社内定着までは、少し時間を要しますが、社内外を巻き込んで準備することで、スムーズな業務移行(紙面⇒電子)ができます。
電子契約が促進されるなか、自社に適した電子契約業務へ移行するには、目的をしっかりと定め現状の契約業務を把握・整理することが重要です。
単に契約書を電子化すれば良いわけではありません。今後の運用を見据えることが重要となります。
例えば、「契約書作成時から電子化したい」のか、「現行のフォーマットは維持しつつ、契約書管理を電子化する」のか、などといったように電子契約に求める範囲や要件は会社ごとに異なります。
目的や導入範囲といったことを事前に検討したうえで準備することが重要となり、イメージではなく実際にトライアルなどを行い、システムの操作性や業務・承認フローを確認することで、スムーズな業務移行を行うことができ、確実に社内定着することができます。
現状の契約業務に関わるメンバーを想定し、どの処理や作業でコストが発生しているのかを算出・比較することで、より多くのコスト削減を実現することができます。
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