ERPベンダー製の予算管理(EPM)ソフトウェアからの移行

背景

現在、ERPの機能もしくはERPに付随するソフトウェアで、予算管理(管理会計も含む)業務を行っている企業において、専用の予算管理システムへの移行を検討・推進する動きが増えています。検討理由としては、以下の点が挙げられます。

  • 毎年保守料の値上げを要求される。
  • バージョンアップ料金が高額で負担が大きい。
  • 機能改修に高額なコストがかかる。
  • システム設定や画面操作面で使いづらい。
  • 手頃な価格で現行システムと同等の機能を持つ他社ソフトウェアの提案を受けた。

とくに大手のベンダーの場合、価格の交渉力が強く、費用対効果の面で限界を感じて、移行を検討されているお客様が多いと感じます。

ERPベンダー製の予算管理ソフトウェアの限界

専用の予算管理システムとERPベンダー製のソフトウェアを比較すると以下の相違点があり、ERPベンダー製のソフトウェアで予算管理業務に対応するには限界があると思われます。




予算管理の専用システム ERPベンダー製の予算管理ソフトウェア
勘定科目/組織(セグメント/部門)などの粒度変換対応 実績と計画(予算)で粒度の違いにマスタ変更で対応でき、データ収集から集計/分析まで粒度変換ができる。 実績と計画(予算)での粒度変換には、個別なシステム設定が必要になり、軽微な修正であっても煩雑。
分析/レポーティング KPIや集計科目などからドリルダウンして、明細/伝票レベルまで見たい分析軸でレポートできる。 定型的なレポートしか作成できず、ERPに取り込んだデータをExcelに出力後、手動で加工して作成。
経営層向けのレポート作成 必要なレポートを業務部門内で作成して、柔軟なシミュレーション(シナリオ別/着地など)ができる。 レポート開発には多くの追加コストがかかり、柔軟なシミュレーションができない。
システムの維持・管理 自社/業務部門内で柔軟にシステム改修でき、運用コストを低減できる。 自社内もしくは外部にシステムの専門家を確保しなければならず、運用コストの低減が難しい。

国産の予算管理システムへの移行が進む現状に対する考察

上記のように機能面や維持・管理の観点でERPベンダー製のソフトウェアを使うことには課題があります。このデメリットに加えて、VUCA時代における環境変化に対して、収集するデータの変更や、即座に計画や予測を収集できる仕組みが求められるようになり、冒頭の保守料の値上げなどの要因が積み重なり、思い切ってシステムを入れ替えよう、という動きにつながっているものと考えます。DXの機運が高まっているなかで、後回しにされてきた管理会計・予算管理プロセスが投資対象となっていることも要因として付け加えておきます。

専用の予算管理システムが充実しているという点も大きいでしょう。機能面で遜色ないレベルでありながら、コストを大幅に下げることが可能になっています。また、情報システム部だけでなく経営企画部や経理部のメンバーでもノーコードで変更できるユーザビリティも兼ね備えています。

最後に

予算管理システムは導入することがゴールではありません。事業や組織の変化に自社/業務部門内で柔軟に対応できるよう、導入後も業務の効率化を図り、システムを進化させていくことが重要です。

当社では、ERPベンダー製の予算管理ソフトウェアや海外製の予算管理システムから国産のシステムへの移行だけでなく、システム導入後にお客様ご自身でシステムを進化させられるように包括的に支援してきました。そうした当社によるシステム移行の支援事例などを紹介する機会をいただければ、有益な情報を提供することができますので、ご検討を開始されてみてはいかがでしょうか。