導入が予算内かつオンスケジュールで終わることが成功ではありません。
導入後の業務運用上、使いこなせてこそ成功といえます。
なぜなら、人事システムを導入する目的は、業務の効率化、法令対応、人事戦略活用を通して経営戦略に資することだからです。
企業が雇用している従業員の人事情報をデジタルデータで登録・管理することで、人財配置や給与支払いなどを必要な時間内で正確に処理し、データを活用してさまざまな分析を深め、人財戦略に活用することができます。また、事業のフロントシステムや会計システムへIDと労務費データなどを連携することで、企業の経営活動を支えることができます。
実務担当者がスムーズにデータ登録や検索ができる。
運用シーンに応じて必要なレポートを自在に作成・出力できる。
事業のフロントシステムや会計システムにタイムリーかつ安定してインターフェースできる。
人事制度やその運用変更、組織の改編や法改正に対して金銭的・人員コスト的にスリムに対応できる。
上記ポイントをクリアするためには、人事システムを導入・運用する業務部門(=人事部門)側に、業務とシステムの両方にある程度精通し、さまざまなシステムベンダーとのやりとりに長けたチームや組織が存在していることが重要です。
逆に、人事部門内にそのようなシステム専門部隊を備えていない企業は成功モデルの実現が困難になります。なぜなら昨今は以下のような情勢があるためです。
企業内のさまざまな業務のシステム化が進み、何巡も更改されている昨今。20年前、30年前は業務側にも踏み込んでサポートしてくれた情報システム部門は、コストやインターフェース、セキュリティ管理が主な役割となり、業務側のシステムプロジェクトに対して割ける時間や役割は限られています。
過去のシステム導入ラッシュの時代に活躍した、システムプロジェクトを強力に推進する経験や能力を持ったベテランは、昇進・異動・転職により現場には不在であることも少なくありません。
既製品の提供が主流の現在のシステムベンダーは、製品仕様や制約内の提案にとどまりがちです。
業務とシステムの両方に精通し、導入のみでなく運用まで一貫して上記(1)~(5)を担い、人事部門が主管となる各種システム全般をサポートする部隊を、明確に“一組織として”人事部門内に設置し、永続的に育成・保持することが有効な解決策の1つになります。
ただし、上記のような組織をすぐに立ち上げることが難しい場合には、一部の機能を外部のコンサルタントに依頼することで代替することもできます。
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