「専門家を巧く活用したい」というのは、どの分野の方でも共通して感じていることだと思いますが、実際に巧く活用できているか、というとなかなかそうは言えないケースが多いのではないかと思います。
ものごとは視点を変えてみると、何か解決の糸口が見えることがあります。少し視点を変えて、相手(専門家)の立場で考えてみます。仮に自分自身が専門家だったと仮定した場合、下記の(1)~(3)の顧客がいたとき、どの顧客に最高のサービスを提供したい(自分の持っている知恵を極限まで絞って考える)と考えるでしょうか?
(1)とにかく頼み倒してくる顧客
(2)とにかく怒っていて怒鳴り倒してくる顧客
(3)対等の立場・目線で作業方法を議論してくる顧客
おそらく、ほとんどの方は、(3)の顧客に対してサービスを提供したいと考えるのではないでしょうか。アメリカの医師の事例を少し紹介します。
以前に医師の方とお話することがあり、「アメリカでの診療は本当に疲れるけど勉強になる」と言っていたのが印象的でした。アメリカの患者は自分の症状について調べてから診療に来て、医師と治療方法について議論をする、そのため自分も常に勉強をしておかないと言い負かされてしまうとのことでした。アメリカの患者は自己責任が徹底されていて面倒なところもあるが、刺激的で最高の患者だと言っていました。
この事例からは二つのことが読み取れます。
一つは、顧客がしっかりと勉強をしているため、専門家はそれを上回るサービスを提供するために、より良い準備をすることで、専門家の緊張度を高めています。
もう一つは、顧客が自身の病気に関して知りたいこと、医師に対して要求したいことを明確に持っているということです。要求が明確であることで、医師はその要求に絞って回答をしなければなりません。
専門家の品質を高めるには、顧客側も相当な努力が必要だということです。対等の立場・目線で議論するためには、顧客側も依頼している案件の内容・状況を理解しておく必要があるのです。
これは私たちの業界でも当然同様のことが言えると思います。例えばシステム導入であれば要件定義で顧客の要望をヒアリングし、その後に設計・開発を行うという流れで進みますが、要件定義は顧客からヒアリングを行うという一方通行の場ではなく、顧客がシステムを理解するための重要な相互理解の場でもあるということです。
顧客側でも積極的にヒアリングを行い、システムの理解度を高めていく過程では、専門家(導入コンサルタント)はそれに応えるために知識・サービスレベルの向上が必要となり、結果として専門家は自身のスキルを最大限に発揮する環境に置かれます。
このように顧客と専門家が一つの共通の目的に向かって、互いに持っている情報・知識(得意分野)を出し合い、互いにそれぞれの情報を理解していくことこそが、「専門家を巧く活用する」ということを実現することになるのだと思います。
顧客がシステムの理解度を高めていく過程で、専門家(コンサルタント)はシステムの仕様をより正しく伝えるためにさらに学習することとなり、顧客からはより正確な要望がコンサルタントに伝わり、コンサルタントもより精度の高い提案ができるようになります。結果として顧客の要望に限りなく近いシステムの導入が可能になると思われます。
つまり、専門家を巧く活用するということは、顧客自身が「最高の顧客」となることで「最高の専門家」を育てていくということだと思います。
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