私が予算管理システムの導入を担当する場合、最も意識している点はレスポンスです。導入経験がまだ少ない頃、お客様からの要望を聞けば聞くほど、レスポンスがどんどん低下してしまい、使いにくいシステムになってしまった、という苦い経験があるからです。
予算管理システムの多くは、Excel(もしくはExcelライクな)インターフェースを売りにしています。 Excelは大量データを高速処理することを目的としたツールではありません。想定を超える量のデータを表示したり、関数を設定すると、レスポンスは著しく低下します。
レスポンスが低下する原因は大きく以下の2点です。
まず一点目の理由ですが、これは当然のことながら、Excelの各セルにDBから値を表示するわけですから、量が多くなれば、レスポンスは低下します。
二点目の理由は、多くのお客様はしっかりと意識されてはいませんが、Excelは画面上の制御や計算処理で関数を使用します。画面の要件が複雑になるほど、関数が飛躍的に増えていき、レスポンスの低下を招きます。
例)
Excel1画面の表示件数を減らすorレスポンスに影響する要件を見直す のいずれかの対応を行います。前者に対しては、例えば、以下のような方法が考えられます。
推奨はインプット画面でレスポンスを重視し、アウトプットは多少遅くても許容する、という考え方です。アウトプットは、全社串刺しで見れないと意味がない、複数のシナリオを比較してみたい等、多くのデータを組み合わせないと機能要件を満たせないため、レスポンスは多少犠牲にせざるを得ません。
一方でインプット画面の表示時間がかかる場合は、多くのストレスがかかりますから、これは解消しなければなりません。
それでも表示が遅い場合は、要件をそぎ落としていくしかありません。
そもそもの要件出しの際に、データ量が多そうな画面で、要件を提示する場合には、要件を実装しても、レスポンスに問題ないか、ベンダーに確認するのが良いでしょう。
システム導入を進める各工程において、レスポンスを低下させないためのアクションが必要になります。特に製品選定時に考慮されていないお客様が非常に多い印象を受けます。もちろん経営企画部や経理部では技術的な話は難しいと思いますが、そういった場合は、「画面の表示は10秒以内になるように設計して欲しい。対応可能か教えて欲しい。」とオーダーを出すだけでも、ベンダー側は考慮に入れた設計を行うはずですので、是非お伝え下さい。
プロセス | 必要なアクション |
---|---|
製品選定 |
以下の事項を導入ベンダーに伝達する。回答が不明瞭な場合、カスタムデモの打診をする。
|
要件定義 | プロトタイプを作成し、レスポンス時間の計測をベンダーに依頼する。 |
設計・テスト | ベンダー側・受入側のテストで実際に想定されるデータ量でのテスト実施項目を計画する。 |
いくら機能要件を満たしていても、レスポンスに課題がある場合には、実効性があるとは言えません。各工程(特に製品選定時)において、導入ベンダーにレスポンス要件を伝達し、適切な対応がされることを確認しながら進めていくことを推奨いたします。
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