中途採用を成功させるためには、採用活動における現場の関与が絶対的に必要です。これはどの会社でも理解していることですが、現場は中途採用業務のどの部分に関与し、何をポイントにすると良いのでしょうか。今回は中途採用業務における現場の関与にフォーカスし、コラムを記載したいと思います。なお、当コラムでの「現場」とは、中途採用者が応募した、実際に業務に携わるポジションおよびそこで働く人財を指します。
現場が関与するポイントを記載する前に、まずは中途採用という業務における人事部と現場の特徴を整理します。人事部の強みは、中途採用市場における情報収集力を有している点と、採用活動におけるさまざまな採用手法を熟知していることです。現場の強みは、自社と競合他社のサービスに関する情報を熟知していることと、現場の実情を社内で誰よりも理解していることです。
上記の特徴を考えると、中途採用業務のどこに現場が関与すべきかが整理できます。中途採用業務の基本的なフローは、採用戦略立案→母集団形成→選考→オファー→内定者フォローです。このフローに沿い、現場が採用活動に関与するポイントを記載します。
現場は、どのような人財を募集してほしいかを伝えることはもちろんですが、人事部が提供する採用市場に関する情報を取り込み、人事部とともに採用人財の明確化に取り組む必要があります。昨今の中途採用市場は活性化しており、理想の人財を確保することが難しい状況です。そのため、採用した人財を育成して活用するという方向性がどうしても必要となる場合があります。そのために、人事部と現場で、どのような人財を採用するか、綿密にディスカッションをする必要があります。そうすることによって、最適な採用手法を選択することが可能になります。
母集団の量と質を向上させるためには、中途採用市場における情報発信が一番効果的な手法です。情報発信の手法として、採用媒体におけるインタビュー記事の掲載やカジュアル面談があります。候補者がより興味を持ちやすいのは、現場社員から発信される生の情報です。募集ポジションの特徴や他社と比較した際の優位性を一番理解している現場が情報を発信することによって、母集団の質と量が改善されることでしょう。
選考中には、残念ながらお見送りになる候補者が発生します。ここで、なぜお見送りになったのか、理由を蓄積していくことが重要です。お見送りになった理由はこれからの採用活動を改善するための大切な資産です。この情報を人事部に的確にフィードバックすることで、人事部での書類選考やエージェントからの紹介の正確性が向上します。
オファーでこそ、現場の強みが発揮されることでしょう。なぜ入社してほしいか、実際に一緒に働く現場から伝えられることは強力な武器です。その武器をより強化するためには、実際に面接を実施した現場社員がオファー面談に参加することが良いでしょう。オファー条件の説明に加え、自社の魅力を人事部から、現場の魅力を現場社員から、選考で評価されたポイントを双方から伝えることで、オファー受諾率は改善されます。
ここでの主担当は人事部です。現場が関与しても結果は大きく左右されないと考えます。実際に大手人材会社が840人の人事担当者にアンケートを取った結果(※)からも、同様の回答が得られています。
これまで中途採用活動における現場の関与のポイントを記載しました。読者の皆様の企業における中途採用活動について、現場の関与度合いはいかがでしょうか。現在の中途採用活動において、現場の関与は重要度が高まっています。上記で引用したアンケート(※)においても、現場が採用活動に関わっている企業は採用活動がうまくいっているという結果が出ています。今回の記事が読者の皆様にとって、採用活動の参考になれば幸いです。
※出典:HRプロ 中途採用成功のカギは「人事部任せにしないこと」。採用戦略・選考への“現場”の関与が成功要因に
https://www.hrpro.co.jp/trend_news.php?news_no=2302