ESG投資が拡大するなか、「人的資本の可視化」の一環として、男女間の賃金格差の開示が義務付けられました。2022年7月8日に女性活躍推進法の省令が改正・施行され、常時雇用する労働者301人以上の企業にとっては開示が義務となっています。
人的資本の情報開示は「自社のマネジメントレベルが対外的に公開される」ことを意味します。男女間の賃金格差が大きければ、「多様な人財を活用するマネジメント基盤がない企業」と見られてしまうでしょう。そうなれば、自社の女性社員のモチベーションの低下、採用力の低下、投資対象としての企業価値の低下といった種々の問題が生じるため、格差が生じている原因の分析を行い、是正のための改善策を講じる必要があります。
原因次第ではありますが、改善を講じるうえでは、
など、人事制度の設計・運用の見直しを含む施策が有効と考えられます。
もとより、人的資本の最大化を図るための仕組みが人事制度です。そのため、人事制度の見直しは、男女間の賃金格差是正の場面に限らず、広く人的資本を高めるうえで有効な施策といえます。
人的資本の情報開示の範囲は今後も拡大していくと考えられます。自社のマネジメントレベルを自信を持って公開できるよう、今回の改正を契機に、人的資本に関する課題を広く洗い出し、人事制度の見直しなどによって解決を図ることをお勧めします。
※出産・育児から仕事復帰した女性が、自分の意思とは関係なく出世コースから外れた働き方をさせられること。