急いで、年休 ~年次有給休暇取得義務5日~

年10日以上の年次有給休暇(年休)が付与される労働者に対して、年5日の取得が義務付けられて3年になります。取得できない場合、罰則もあり、今年度の取得状況を確認する時期となってきました。皆様の年休消化状況は大丈夫でしょうか? 5日間取得していない場合は、急ぎ取得していただきたいと思います。

さて、ここで年休取得5日が義務化された背景を確認しておきます。年休は労働基準法に定められており、労働者の心身リフレッシュを目的に、原則として労働者が請求する時季に与えられます。しかし、職場への気遣いや休暇への抵抗感などから取得率の低い状況が続き、働き方改革推進とワークライフバランス充実の観点から、2019年4月より、年10日以上年休を付与される労働者に対しては、年5日の取得が義務化されました。もし、義務を果たせなかった場合、該当者1人当たり30万円以下の罰金が使用者に課せられます。

ここで国際的な状況を、世界的な大手旅行会社が行った調査結果で確認してみます。2020年の国別平均年休取得率は、日本は16カ国中14位(45%=9日/20日)と、ドイツ(83%=25日/30日)、アメリカ(50%=5日/10日)に後れをとる状況です。一方、取得日数で見ると9位(9日)と、ドイツやフランス(25日)には及びませんが、韓国(8日)、アメリカ(5日)を上回る状況です。

また、年休を取らない理由を見てみますと、日本の上位3位は、順に「緊急時のためにとっておく(30%)」「仕事の都合上難しい(22%)」「新型コロナの影響で旅行できない(12%)」となっているのに対し、世界16カ国では、「新型コロナの影響で旅行できない(33%)」「緊急時のためにとっておく(27%)」「お金がない(22%)」の順となっています。

年休は賃金がもらえる休暇であり、2年間で時効消滅しますので、取得しないのは大変もったいない話です。しかし、実際問題として上記に引用したとおり、我が国の年休が取得できない理由として「仕事の都合上難しい」というのが、第2位(22%)を占めるのは残念なことです。

労働は人間がするものである以上、適切に休みを取ってリフレッシュしなければ、労働の品質は落ちてしまいます。よって、確かにそれを承知で休まず働くというのは、立派な貢献意識の現れだと思われますが、それはかえって品質悪化を招き、結果的にミスにつながる可能性もあります。積極的な貢献意識やがんばりが逆の結果になったとすると、何とも皮肉なことです。

上司・部下で、仕事の質の状況も含めて考慮し、計画的な年休取得を進めていただきたいと思います。