出社すればコミュニケーションはとれる?

先日発表された「職場における孤立の実態調査」では、

  • 職場において孤立した人(孤立グループ)は、組織に対する帰属意識やエンゲージメントが顕著に低くなる
  • 孤立グループは、周囲とのつながりが強い人(連携グループ)に比べて、職場における学び、成長を実感しにくく、ローパフォーマーの割合も高まるなど、日常業務がうまく回っていない状態である
  • 業務遂行にあたり職場の他者と連携する機会が少ない立場であるほど孤立しやすい状況となる

といった結果が出ていました。

「業務遂行にあたり職場の他者と連携する機会が少ない立場であるほど孤立しやすい」と聞くと、「コミュニケーション不足が課題とされるテレワークは孤立を引き起こしやすいのではないか」と考える方も多いと思いますが、同調査では、逆に孤立グループの方が連携グループより出社勤務をしている回答者の比率が高く出ており、これについて調査側は、「出社して単に空間と時間を共有するだけでは、職場における孤立は解消されない可能性が高い」と指摘しています。

これは重要な示唆であると思います。
ともすれば、「自然とできるもの」「無意識に行うもの」という印象もある「コミュニケーション」という言葉ですが、我々は、「職場におけるコミュニケーション」とは、

  1. 組織目標を達成するために
  2. 組織構成員間の連携を強め
  3. それぞれの活動を調整し
  4. 組織としての統一性とチームワークを高める

性質のものでなくてはならないと考えています。

これは、合目的的に意識的に行われる必要があるものです。また、「職場におけるコミュニケーション」には多くのスキル、フレームワークがあり、適切に行われるためには教育や訓練が必要です。「社員が出社すれば自然と行われるもの」ではないため、会社としては、「職場におけるコミュニケーション」を促進する仕掛けや仕組みを整備する必要があるということになります。

皆さんの会社の

  • 等級制度は、等級定義のなかで社員に適切な「職場におけるコミュニケーション」を求めていますか?
  • 評価制度は「職場におけるコミュニケーション」を促進する運用が行われていますか?
  • 教育研修制度は、社員の「職場におけるコミュニケーション」スキルをフォローしていますか?

働き方の多様化や事業環境の変化が急速に進む昨今ですが、「職場におけるコミュニケーション」はどのような状況下でも必要とされる力です。変化が激しい今だからこそ、地力となる「職場におけるコミュニケーション」力を強化する人事制度を整備しましょう。