新型コロナウイルス「オミクロン株」の感染拡大で、今年も先行き不透明なスタートとなりました。さて、新年にあたり、今回は春闘について記載します。
今年の春闘については、連合はベースアップ2%を掲げ、岸田政権も賃上げに対する税制支援強化を検討するなど、政・労・使のうち、労だけでなく政も賃上げを促進する構図となっています。2021年度の賃上げ実績は1.86%となったことから、2%台への回復が今年の焦点になると思われます。
このような状況下、私は今年の春闘について、慎重な対応を継続すべきだと考えます。以下、理由を述べます。
労働条件は、企業の実力(収益性、生産性)や労働の需給などで決まります。また、日本は輸出・輸入依存度それぞれについて、14%前後という一定の水準にありますので、海外の状況も含めて考える必要があります。
統計上の数値を検討してみますと、
以上より、平均的な日本企業の置かれた状況は、
したがって、個別企業において、上述した状況と異なる優位性があれば、それは積極的に春闘に反映していただきたいと思います。ただ、そうでなければ安易な賃上げは、競争力を低下させる危険があります。むしろ今年は、企業の技術・ノウハウの流出を防ぎ、社員の失業にともなう痛みや不安を防ぐ、人財の確保に最優先で取り組むべきではないでしょうか。
コロナ禍の状況の不透明さが続く今春闘。人財を大切に、春闘は慎重に、と申し上げて結びといたします。