ニューノーマルに対応してリーダーシップ行動を変えよう

  • 昨年4月、初めての緊急事態宣言から早いもので1年が経過しました。多くの企業が緊急対応で導入した在宅勤務も2年目を迎えています。
  • 日経BP総合研究所イノベーションICTラボが2020年4月から定期的に実施している調査結果によると、週3日以上テレワークした人の比率は、昨年4月の1回目の緊急事態宣言下では63.9%でしたが、解除後の昨年10月には41.9%まで減少。続く2021年1月の2回目の緊急事態宣言下では50.9%と再び上昇し、解除後は38.5%と低下しています。宣言が発出されるとテレワーク率は一時的に上がりますが、解除されるとまた1割以上低下し、全体的に実施率は右肩下がりとなる傾向があります。
  • また、直近の調査で3日以上テレワークを実施できた一般社員、専門職は、5割近い結果となりましたが、経営者、管理職は実施率が35%とテレワーク格差が見られました。年代別に見ても管理職層の多い40代~50代の実施率が他の年代層よりも低い結果となっています。
  • テレワークにおいては、「コミュニケーションが取りにくい」「仕事の成果、プロセスが見えない」などさまざまな問題が指摘されていますが、部下に範を示しリードしなければならい立場の管理者クラスのテレワーク実施率が低下傾向にあるのは気になります。
  • いずれにしても、在宅勤務が本格化してから1年が経過し、今後もこの動きは広がっていくでしょう。そのなかでもマネージャーはリーダーシップを発揮することが求められ、ニューノーマル下で従来の行動を変容させていかなくてはなりません。
  • リーダーシップは環境の変化に対応しながらメンバーを正しい方向へ導く行動といわれ、かのP.ドラッカーは、マネジメントの手段と位置付けていました。ニューノーマル下、働く環境が大きく変わるなかで、「俺の背中を見て付いてこい」というリーダーシップのスタイルは難しい状況です。そのスタイルも変化に適応させていく必要があります。
  • 変革すべき行動のポイントは二つあります。
  • 一つは、ニューノーマル下での組織のビジョン、仕事のあり方を描き示すことです。この1年で自分たちの組織や仕事に生じた変化を体系的に捉え、課題を整理し、その先の姿を描く必要があります。ビジョンを示すことはリーダーシップのなかで重要な行動といわれていますが、コミュニケーションが難しい今だからこそ、部下を牽引する明確なビジョンを描くことはいっそう重要と言えます。
  • 二つ目は、部下が働きやすい環境を提案し、つくり出す行動です。かつて対面での会議はマネージャーがリーダーシップを発揮する場として機能していましたが、今はオンラインに変わりつつあります。定期的なWebミーティング機会の設定やチャットルームを活用したアイデア創造の機会、また個別にコミュニケーションを行う1on1などさまざまな機会を提案し、実現することで部下がチームのなかで動きやすくなる環境づくりを進める必要があります。
  • コロナ禍に端を発したテレワークの広がりも2年目を迎えました。コロナ疲れも見えてきていますが、在宅勤務を中心とした働き方の変化は、コロナ終息以降も働き方改革を進めるなかで継続して取り組まなければならないテーマとなります。ニューノーマルという変化に対応できているか――自身のリーダーシップのスタイルをチェックしてみてはいかがでしょうか?