定年延長、定年再雇用を柔軟に考えよう~選択可能な柔軟な働き方の提供へ~

  • 70歳まで働く機会の確保を企業の努力義務とする改正高年齢者雇用安定法などの関連法が今春2021年4月から適用されます。当面「努力義務」ではありますが、今後のことを考えて企業は検討を開始しています。弊社でもお客様から相談を受けることが増えています。定年を65歳までに延長すべきか、当面は定年再雇用を継続するが将来的には定年を65歳までに延長して70歳までは定年再雇用で対応しようか、とお考えになる企業も多いようです。
  • 職業柄、様々な資料、記事などに目を通しますが、時に意外に感じることがあります。事例として、定年後の継続雇用に関する記事をご紹介します。労働政策研究・研修機構が2019年に約6千社を対象にした調査では、定年後に継続雇用されたシニア(60代前半)について、正社員として雇用している企業が41.6%、嘱託・契約社員として雇用している企業が57.9%でした。
    定年再雇用では、嘱託としての雇用が基本であり、状況によってやむを得ない場合に限り、正社員待遇または正社員雇用もあるが限定的だろうというのが私の認識でした。企業規模、企業の人員構成によって異なりますが、定年を迎えても後任の人材が育っていない場合、当該人材が余人に替えがたい場合、定年後も同じ業務を行う場合には、正社員と同様の待遇、ならば正社員として継続雇用という考え方が企業の判断なのかもしれません。
    この場合、推測になりますが、おそらく退職金制度の対象とはしていないでしょう。賞与は(1)正社員と同様に支払う、(2)正社員より支給月数を下げる、(3)支給しない、などが考えられます。加えて、嘱託社員への移行も随時可能にしていると思われます。
  • 企業によっては、経験豊富な60代のシニア人材を中途採用することもあるでしょう。この場合は、正社員採用とするのか嘱託社員採用とするのか建付けが必要になります。
  • 一般的には、正社員と異なる有期雇用契約を結ぶ人達を嘱託社員と言います。正社員の方が安心感を与えると考えがちですが、60代になると自身の健康や介護などによって働き方は流動的になると思われます。正社員、嘱託社員という区別よりも、"選択可能な柔軟な働き方を複数用意して提供する"というスタンスが適切ではないかと考えます。以降の雇用延長検討の参考になれば幸いです。