新たな人財マネジメントのルールに労使で向き合おう

  • 新型コロナウイルス感染症拡大下での春季労使交渉、いわゆる春闘が始まりました。各社業績の見通しが不透明な中、一律の賃上げは難しい状況で、企業側のまとめ役である経団連も賃上げについては各社の状況に応じて判断を委ねる方針としました。一方で今回の春闘における大きなテーマの一つは、人財マネジメントの仕組みであるジョブ型への移行ではないでしょうか。
  • 人財マネジメントの仕組みが正しく機能するためには、市場や事業の成長性などの外部環境と人員構成や社風といった内部環境への適応ができる仕組みであることが求められますが、同時に経営側と働く側がそのルールを共有することが重要となります。
  • かつて日本経済成長の原動力であった年功的な人財マネジメントの仕組みも、日本経済が成長する中で、会社が規模拡大・成長すると同時に、社員の生活の安定・向上を図る仕組みとして、労使が目的を共有し、向き合い、折り合いをつける共通の枠組みを作り上げることで機能してきました。
  • しかし今、コロナ禍が引き金となって拡大する新たな働き方は、人財マネジメントとしてこれまで機能してきた様々なルールに対して大きなインパクトとなり、その前提の枠組みが崩れつつあります。
  • 人財マネジメントの仕組みは、その会社の中で社員が「どのような仕事でどんな成果を求められ、結果としてどのように処遇され、中期的にどんなキャリアが身に付き成長できるのか」を決めるルールブックです。企業ごとの事業ビジョン・文化等によって一律なものではなく、「ジョブ型」というような言葉でひとくくりできるものではありません。
  • 今年の春闘の場は、賃上げに関する「闘争」ではなく、次の成長に向けた人財マネジメントの仕組みを労使で真剣に「討議」する場となってほしいと思います。