社員の定着化に向け入社時から人財育成のPDCAを回そう

Z世代の傾向について、ある調査結果に関する記事に目が留まりました。
Z世代の育成や定着化に悩む企業も少なくないと思いますが、この記事では、調査結果から、一様に「Z世代は〇〇のような傾向がある」と判断することは人財育成や定着化を進めるうえでリスクになると提言しています。
調査は、29歳以下の大学卒以上で大手企業に在職している社会人を対象に行い、(1)「現在の会社で長く勤めたい」と「魅力的な会社があれば転職したい」、(2)「忙しくても給料が良い仕事がしたい」と「給料は低くとも落ち着いて働きたい」などいずれの傾向が強いかを分析したところ、ほぼすべての質問でその比率は拮抗する結果となったようです((1)は52.3%:47.7%、(2)は51.2%:48.8%)。Z世代は「転職志向が強く、給料よりも落ち着いて仕事をすることを望んでいる」などとひとくくりで対応することは難しいということになります。また、組み合わせもさまざまで、「現在の会社で長く勤めたい」と回答した人が、「給料が低くても落ち着いて働きたい」と回答しているかというと、これも拮抗していて、「忙しくても高い給料を望む」人が56.2%、「給料は低くても落ち着いて働きたい」と回答した人が43.8%という結果となり、若者の仕事観やキャリア観の多様化が進んでいることがうかがえます。

別の調査結果になりますが、離職する若手の傾向を分析したところ、入社前の社会的な経験が多い社員ほど、離職率が高くなる傾向が強くなり、そうした人財の比率は年々高まってきているということです。入社前に複数の企業や職場を経験している人の割合は46.2%と約半数となり、そうした社会的経験を複数持つ人の割合も増えており、1999年卒~2004年卒と2019年卒~2021年卒を比較すると22%から44%と倍になっています。
これら事象から、新卒・中途に限らず、さまざまな経験を積んできた社員ほど、会社に対して不安や不満を抱くことも多く、「優秀な若手が定着しない」ということにつながっていると考えます。

先日、新卒と中途を半々くらいの比率で採用しているお客様から「社員の評価実施時期を早めたい」という相談を受けました。その会社では、中途入社者を中心に定着化していくことが重要な課題でした。
さまざまな社会的経験を持ち、多様化するキャリア観を持つ人財が増えるなかで、役割や目標をしっかりと本人に伝え、その結果をフィードバックし、賃金や処遇に早期に結び付けることは、若手社員、とりわけ中途社員の育成と定着化を図るうえで、適切な対策だと感じます。

皆さんの会社では、新卒・中途社員に限らず、入社時に期待される役割や評価基準について説明を行い、目標設定を行っているでしょうか?
Z世代に限らず、今後もいっそう人財の多様化は進みます。入社時からしっかりとPDCAを回す仕組みを整えましょう。