人事制度の見える化を企業の採用力向上に

厚生労働省と文部科学省によると、2025年3月に卒業予定の大学生の就職内定率は10月1日時点で72.9%と、前年同時点から1.9ポイント低下したそうです。低下は4年ぶりとのことで、売り手市場のなかでこのポイントが低下することは意外な結果に思えますが、この調査は、最終的な就職先を決めていない学生を内定者として集計していないのだそうです。
一方で、就職先を決めていなくても内定者として集計しているリクルート「就職みらい研究所」の調査によると、同時点の内定率は95.9%と、前年同時点から3.9ポイント増加したという結果であったことから、複数企業から内定を得た学生が就職先を決めきれずにいるという状況が先の結果に影響していることが予測されます。
就職・転職サービスを行うある企業が10月上旬までに行ったアンケート調査によると、学生が就職先として内定承諾をした企業の決め手は、「社風や社員の雰囲気がいい」という理由が71.8%と最多で、「やりたい仕事・やりがいのある仕事ができる」という仕事内容を理由とした回答が41.5%、「成長できる環境が整っている」とキャリアを理由とした回答が37.5%であったそうです。
求職者から選ばれる企業として、各社の採用ブランディングがますます重要になっていますが、社風や社員の雰囲気を採用担当者が身をもって体現することはもちろん、より伝えるべきなのは、入社後にどのような仕事に携わることができ、将来的にどのように成長していけるのかというイメージだと思います。

私たちが主に支援させていただく「人事制度構築・改定プロジェクト」は、G-SPECというコンセプトのもと、企業の経営ビジョン、経営戦略、人財戦略の観点から、求められる役割を等級、役職、職種それぞれに落とし込み、役割等級制度として定義化します。また、この役割定義に基づく評価制度を設計し、評価結果を賃金や処遇にしっかりと反映させるとともに、役割等級制度のなかで必要とされるスキルや人事制度を実際に活用できるよう、制度の運用スキルを強化する教育体系までを整備し、導入から運用、定着までサポートさせていただきます。こうすることで、「現在勤務している従業員」にとって妥当性・納得性のある、「見える化された生きた仕組み」を構築することができます。
また、このように一貫した人事制度は、採用活動において、「今後入社する社員」に対する「働くイメージ」や「成長イメージ」の醸成につながるメッセージとしても活用していただけるものと考えます。

  1. 入社後に携わる職務・業務をイメージできる

    役割等級制度設計において、等級、役職はもちろん、職種ごとの役割定義まで洗い出し、整理していくことで、組織運営上必要な役割が明文化され、各レベル別に求められる役割(職務・業務)を全員がイメージできるようになります。
    そのため、入社後、最初にどのような役割を担うのか、どのようなレベルを求められるのか、企業としても発信しやすくなります。

  2. どのようなことが評価され、どのような成果・結果が給与・賞与アップにつながるかをイメージできる

    求められる役割において、どのような成果・結果を出すことが評価アップにつながり、給与・賞与に反映されるのかが仕組み化されるため、入社後にどのように努力していけば良いのかがイメージしやすくなります。

  3. キャリアアップに必要なスキルをイメージできる

    上位等級や上位役職に就くためにはどのようなスキルが必要なのかが見える化され、スキル習得に向けた教育体系も整備されるため、入社後にどのようなことを学び、身に付けていけば良いか、自身の成長イメージを持ちやすくなります。

このように、採用段階から入社後の自分の姿を明確にイメージできる情報発信をすることは、企業の誠実性や透明性につながり、求職者からのイメージ向上にも影響します。
ぜひ、人事制度を既存社員の育成・定着のための仕組みだけでなく、採用活用において企業の魅力を存分に発揮できるメッセージとしてご活用いただき、「選ばれる企業」となるきっかけにもしていただければと思います。