人事制度構築支援
都道府県職員の給与に関する人事院勧告が出揃い、引き続きの賃上げの一方で、42都道府県が、国の見直しに準じた「配偶者分の扶養手当廃止」を求めました。
2023年10月に厚生労働省が発表した「年収の壁・支援強化パッケージ」でも、扶養の範囲内で働く方が「年収の壁」を意識せずに働くことができる環境づくりに取り組む企業への支援を開始しましたが、ここでも、配偶者手当のあり方の検討が提唱されています。配偶者の扶養の有無を手当支給基準とすることが、社会保障制度とともに扶養内でのパート・アルバイト従業員の就業調整の要因となっていることが理由です。
人事院による「2024年職種別民間給与実態調査(調査時期:2024年4月現在)」によると、民間企業における配偶者や扶養する子を対象とした家族手当支給制度は、調査対象の企業のうち74.5%の企業に存在するそうです。そのなかでも配偶者に対する手当支給ルールが存在する企業は53.5%と半数以上に及びます。
しかしながら同調査では、配偶者への手当支給ルールが存在する企業のなかで、配偶者に対する家族手当の見直しを予定している企業は15.3%と低い水準であることも報告されていました。
実態として、すでに制度化され支給している手当の廃止は、不利益変更につながるリスクがあり、実際に廃止に向けた検討開始に踏み出すことが困難な企業が多いためではないでしょうか。
しかし、先の衆院選でも注目されたように、一定の年収を超えることで社会保険料負担が生じ「働き損」にならないよう就業時間を抑制する「年収の壁」問題への対策は政策的な課題となりました。
この動向を受けて、配偶者手当のあり方を含む「年収の壁」を意識しないで済む職場づくりは、企業の重要課題として位置付けられ、今後、より進んでいくことが予測されます。
当社が支援する人事制度改定プロジェクトでは、経営ビジョンや戦略に基づく仕事、役割に応じた役割等級制度をベースとして、役割等級に連動した賃金制度の見直しも行います。
現行の賃金制度を分析しながら、現在支給している諸手当が新制度導入にあたり必要な手当であるか、世間動向と照らし合わせた際に今後も必要であるかなども含めて、お客様の最適な形に近づけていくサポートをさせていただきます。
「配偶者手当をどのようにしていくか」というピンポイントな検討ではなく、賃金制度のトータルな見直しのなかで「配偶者手当の見直し」を含めて検討していくことで、従業員の納得感を得られる改定案を立案していくことも可能となりますので、ぜひ一度、ご相談いただければと思います。