リスキリングとリカレント教育の違い

一般的になりつつあるリスキリングという言葉ですが、リカレント教育との違いを明確に理解していますか。リスキリングとリカレント教育の目的は明確に異なります。この違いを理解していなければ、リスキリングの一環として導入した施策が、結果的にリカレント教育になってしまい、目的と結果にズレが生じてしまいます。今回は、リスキリングとリカレント教育の違いについて記載をしたいと思います。

まずはリスキリングです。リスキリングは経済産業省によって、次のように定義されています。「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」。IT人財の不足の深刻化に代表されるように、企業が求める人財や知識の不足に対応すべく、現状との差異を埋めるための教育施策がリスキリングです。

次にリカレント教育です。リカレント教育は、社会人になっても教育機関や社会人向け講座で学び直すことを指します。こちらもAIに代表されるIT技術の発達により、これから先の長い人生を生き抜くために注目されている教育です。

では、リスキリングとリカレント教育の違いはどこでしょうか。明確な違いは、企業と個人のどちらが学びを主導するかです。リスキリングは会社主導の学び、リカレント教育は個人主導の学びとして位置付けられます。この前提のもとに、皆様の会社のリスキリング施策はリスキリングになっていますか。企業として豊富な学習コースがあるサブスクリプションサービスを導入することは問題ありません。ただし、ここでの学びを自由にし過ぎてしまうと、企業が求めている知識の習得には至らず、個人主導の学びとなり、結果的にはリカレント教育となってしまいます。

リスキリング施策をリスキリング本来の目的として活用するためには、会社として社員に何を学んでほしいかを定義する必要があります。そのためには、現行スキルマップのブラッシュアップや会社としてこれから求めるスキルを明確にし、導入するリスキリング施策で何を学ぶかをルール化しなければなりません。リスキリング施策は導入が簡単なことではありません。目的と結果にズレが生じないよう、活用ルールを検討してみてください。