「管理職になりたくない人が増えている」とはよくいわれますが、先般、株式会社マイナビが発表した調査結果によると、年代が上がるほど昇進意欲が減少し、男性は40代、女性は30代で、「昇進したくない」割合が「昇進したい」割合を上回ったそうです。(マイナビライフキャリア実態調査2024年(働き方・キャリア編))

また、職位別の分析では、仕事上で最もストレスを感じているのは「課長級」の社員でした。
勤務実態としては、課長級、部長級ともに、非管理職と比べて労働時間が長く多忙な一方、「職場での意見の取り入れられやすさ」や「職場での人間関係の満足度」は、課長級が部長級を大きく下回ったといいます。
仕事の負荷は高く責任は重いにもかかわらず、職場での発言力や決定権はそれほど強くないことがストレスにつながっていると考えられます。

待遇面でも、最近の賃上げの流れのなか、初任給をはじめとして若手に手厚く配分される一方、管理職の昇給率は低いまま抑えられているという統計データが出ています。

先の調査での昇進したくない理由トップ3は、「責任が重くなる」「自分には向いていない」「メリットが感じられない」でした。
まさに課長級の実態を見て、管理職に魅力を感じられなくなっているということでしょう。

管理職は「罰ゲーム」という言葉も出回っています。
職責に応じた権限と報酬制度を整えなければ、職場をまとめ率いる最前線の管理職が疲弊し、うまく機能しなくなります。

女性管理職が増えないという問題で頻繁に挙がる要因の一つとして、「身近にロールモデルがいない」というものがあります。これは女性に限った話ではなく、身近な上司が魅力的な働きぶりで、それに見合う処遇と賃金を得ていると感じられれば、管理職に魅力を感じてめざしたくなるでしょうし、逆もまた然りです。
管理職がやりがいを持って働ける環境づくりは、管理職になりたい若手層を生み出すことにもつながります。自社の管理職の権限や報酬は適切か、改めて見直してみてはいかがでしょうか。