一部の企業で「孫育休暇」が広がってきているようです。
「子どもが熱を出してしまったけど、どうしても会社を休めない」
「研修のために3日間家を空けなければならない」
娘・息子夫婦が仕事でどうしても休みの取れない時に祖父・祖母世代がピンチを救う仕組みは、子育て世代に感謝される仕組みであるばかりでなく、管理職層から率先して子育てのために休みを取ることにもなり、子育て世代の社員が休みを取りやすい雰囲気づくりにもつながっているそうです。
新聞で紹介されていた企業では、小学校3年生までの1人につき5日、2人以上で10日取得できる仕組みで、2023年12月の導入以降7カ月で延べ62名の取得実績があり、同年度の男性社員の育児休業取得率も100%を達成しています。

政府は、2025年までに男性社員の育児休暇取得率を50%にまで高めることを目標に掲げています。取得率はここ数年過去最高を更新し続け、ここ5年で2.5倍の24.4%に拡大し、約4人に1人が取得するまでとなりましたが、政府目標との間にはまだ開きがあります。

先日、あるお客様から人事制度の再構築の依頼を受け、現状分析のために社員の皆様にインタビューを行う機会がありました。
その職場では業務の繁閑の差もあり、残業時間も少なくはないのですが、シニア社員や女性社員の比率が高く、幅広い年齢層で定着率も高い状態を維持しています。この会社には「孫育休暇」などの仕組みはないのですが、お話を伺ってみると、子育てを経験し、当時先輩・上司に支えられた世代が、今は現役の子育て世代を支えるという信頼関係・安心感が職場に社風として醸成されていることを強く感じました。

少子高齢化が進むなかで、子育てを支える仕組みやセーフティネットの整備は進みますが、その仕組みを機能させる前提として、世代を超えて、理解し合い、支え合うという職場における信頼関係や社風が大切なのではないかと思います。

今回紹介した「孫育休暇」には、子育てをあまり経験してこなかった現在の男性管理職社員においても、仕事と子育ての両立に悩む子育て世代の理解につながる効果も期待できます。一度検討してみてはいかがでしょうか。