人事制度構築支援
2014年に第2次安倍内閣が発足し、その年を「地方創生元年」と宣言しました。そこから地方創生という言葉が一般的になったと感じています。この地方創生元年から、2024年で11年目ですが、ここで改めて地方企業が抱える課題に対して、人事制度がどのように活用できるのかを考えます。
現在の地方企業における大きな問題の一つとして、後継者不足が挙げられます。2023年に(株)帝国データバンクが実施した後継者不在率に関する調査(※1)では、53.9%の企業が「後継者が不在」であると回答しています。この数値は調査を開始した2011年から最も改善された数値ですが、半数以上の企業において後継者がいないという状況はとても楽観できるものではないでしょう。中長期的に次の世代やその次の世代の経営人財を育成することが求められています。いずれの世代においても、経営人財候補が存在し続けることが、企業の存続には重要となります。そこで、経営人財候補を育成するために、どのように人事制度を活用すれば良いか、マネジメントレベル別にポイントを記載したいと思います。今回は人事制度のなかでも、評価制度にフォーカスをした内容を記載します。
マネジメントを実施しないプレイヤーこそ、経営人財の基礎となる考え方を徹底して習得する必要があります。それは目標達成志向です。至極あたりまえのことですが、経営者はこの考え方を根底に持つ必要があります。この目標達成プロセスを身近な仕組みを通じて実践していくうえで効果があるのが、評価制度です。目標に対しての進捗を確認し、進捗に応じて施策を講じる。最終的な結果が目標に対してどうであったかを確認し、次の目標に反映させる。普段実践している評価制度を適切に運用することで、経営に必要な考え方の基礎は取得できます。
ロアーマネジメントレベルになると、メンバーを活用して目標を達成することが求められます。そのため、組織目標の達成までのプロセスを分解し、それらをメンバーに割り振る必要があります。このプロセスは期初に実施する目標設定と同じプロセスです。メンバーの誰にどの業務を割り振るのかを繰り返し考え、実践することで、メンバーの活用方法の基礎や人を動かすコミュニケーション力が培われます。
ここからは実践と反復あるのみだと考えます。そのなかで、ぜひとも実践いただきたいことは、トップマネジメントの補佐として経営計画策定へ参画することと、自らの組織目標を策定することです。経営計画策定に参画することで経営への理解が深まります。そして、その目標を自組織に置き換えて翻訳し、組織目標を策定する。こうした一連の流れを実践することが、経営人財に求められる役割です。自社のミドルマネジメントを担う人財にはぜひとも上記のような役割を与えてください。そうすることで、次の世代の経営人財候補の層が厚くなります。
上記ポイントのほとんどは評価制度の取り組み目的を明確にすることで実践可能であり、追加出費もありません。いつも運用している評価制度ですが、目的を持って取り組むことで育成という側面で大きな効果を発揮します。中長期的な視点にはなりますが、後継者育成という課題をお持ちであれば、今回を機に評価制度の取り組み目的を再考してみてはいかがでしょうか。
※1 出典:帝国データバンク 特別企画:全国「後継者不在率」動向調査(2023 年)
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p231108.pdf