内部統制(J-SOX・不正防止)対応支援
IT環境の変化やITの利用方法の変化にともない、IT統制への対応として、情報セキュリティや情報システムにかかる規程などの改訂が必要になるケースは少なくありません。
本コラムでは、最初に、(1)ITに関する規程などの改訂がどのような場合に必要になるかを整理するとともに、(2)改訂の進め方や、(3)改訂にあたってのポイントなどを解説します。
主として、社内の動向などにともない改訂が必要になるタイミングがありますが、一般に、以下のような場合が想定されます。
主として、外部の動向にともない改訂が必要になるタイミングがありますが、タイムリーに情報を把握するには、外部のメール配信などを利用し、社内連絡や掲示を行うといった対応の検討が必要になります。
ITに関する規程などの改訂の進め方としては、<1>改訂の検討内容の整理、<2>ITに関する規程などの洗い出し、<3>改訂の方向性の検討、<4>規程などの改訂、<5>改訂した規程などの最終化、のような進め方が想定されます。
規程改訂にあたり、新たに盛り込み、または、変更する項目や内容を改訂事項として整理します。
ITに関する規程などを洗い出し、一覧表などで整理します。
整理した改訂事項と洗い出したITに関する規程などをもとに、どの規程などにどの改訂事項を反映するのかを検討します。規程などの一覧(必要に応じて、章や見出しを記載)と改訂事項などのマッピング表を活用するとわかりやすいでしょう。ITに関する規程などの改訂による全体の整合性も確認します。
改訂の方向性の検討に基づいて、規程などの改訂作業を行います。その際、規程管理規程や他の規程の体裁、表記や表現などを参照し、ITに関する規程など以外とも整合するようにします。
改訂した規程などの形式面、内容面での最終確認を行い、文書としての最終化を行います。また、規程などの承認や周知だけでなく、教育や説明、運用に向けた対応が必要になる場合は、合わせて準備をします。
改訂にあたっては、改訂内容や改訂する規程などの範囲にもよりますが、すぐに改訂作業に着手せず、いったん改訂事項を整理してから、全体を俯瞰して進める必要があります。とくに、改訂する規程などが複数の主管部署に及ぶ場合は、関係部署間で調整して進める必要があります。
そのほか、筆者がITに関する規程などの作成や改訂支援をする際には、次のようなポイントに留意しています。
また、規程などの改訂にともない、とくに内部統制の観点では、次のような対応が必要になる場合があります。
本コラムでは、どのような時にITに関する規程などの改訂が必要になるかを整理したうえで、規程などの改訂の進め方、改訂にあたってのポイントなどを解説しました。近年のISO27001の改訂にともなう対応や、政府の情報セキュリティやサイバーセキュリティ対策の動向、パスワードポリシーやセキュリティポリシーの変更、クラウドサービスの利用ルールの明確化など、ITに関連して改訂が必要になる場合のほか、事業拡大や業務プロセスの変更により、J-SOXの評価範囲、評価対象、評価方法、評価文書などの改訂が必要になる場合など、規程や関連文書などの改訂が必要になるケースはさまざまあります。改訂にあたっては、関係する部署との連携、関連する業務への影響、関連する規程や文書との整合性など、全体を俯瞰しながら行っていくことが必要です。