収益認識会計基準等が2021年4月1日開始の連結会計年度または事業年度の期首に原則適用を迎えています。この収益認識会計基準等は、会計基準の特性から、従来の内部統制を見直したり追加したりする必要があり、内部統制報告制度(J-SOX)が適用される企業には、いわゆる3点セットに反映していただくことが必要になります。
内部統制の見直しにあたっては、まず重要性に応じて全社的な内部統制・業務プロセスの評価対象を決定します。業務プロセスのうち評価対象となる財務報告の信頼性に重要な影響を与える内部統制(いわゆるキーコントロール)は、企業の属する業界の取引慣行、内部管理体制などに左右されるため、以下のような特徴を有する状況によって対応が相違します。
本コラムでは、取引の都度、事前に不備の発生を防止する「予防的統制」、および取引の記録後、事後的にまとめて不備の発生を発見し修正する「発見的統制」という観点で、設定すべき取引の特徴を例示しました。
予防的統制を設定する取引の特徴 | 発見的統制を設定する取引の特徴 | |
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収益認識の単位 ステップ1 ステップ2 |
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収益認識の金額 ステップ3 ステップ4 |
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収益認識のタイミング ステップ5 |
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上記のとおり、取引の都度、判定(予防的統制を設定)をしなければいけない環境・内部管理体制であるか否か、取引の記録後、事後的にまとめて判定(発見的統制を設定)すれば問題ない環境・内部管理体制であるか否か、によって必要な内部統制が異なります。キーコントロールの設定にあたっては、必ずしもすべての取引に対して逐一5ステップに準拠しているかチェックすることは必要でなく、財務報告リスクを十分に低減できているかに着目して決定すれば十分と考えられます。
なお、キーコントロール設定時には、有効性・効率性の観点から監査人の認識と相違がないかどうかを確認しておくことが望ましいと考えられます。