株式上場(IPO)をしたいと思った時、まず何を考えるべきでしょうか。
スケジュールやコストでしょうか?メリットやデメリットでしょうか?
会社が今どのステージにいるかを把握することではないかと、私は思っています。
ステージというのは、会社としての成熟度と考えるとよいでしょう。事業が立ち上がり、軌道にのり、規模が大きくなっていく、これを一般的に成長と表現されますが、そこには機能としての組織が成長していくことも含まれます。
株式上場(IPO)すると、株式は広く一般に商品として市場で流通します。
会社の成長は商品たる株式に化体して市場で評価されるため、成長の具合すなわち会社の成熟度は厳しい目で見られます。
ただ一方で、一見画一的な株式上場(IPO)のための審査への対応は、実はオーダーメードになる部分が大半です。なぜなら、会社の事業内容・規模によって組織の有り様はさまざまであるからです。ですので、まずは会社の実態を把握することが重要です。
事業面は形式的に一定水準が求められることが多いため、ここでは組織面、特にコーポレート・ガバナンスと内部管理制度が機能しているかに着目してみましょう。
経営層の判断は的確でスピーディでしょうか。事業内容は決算数値で適時に説明ができていますでしょうか。事業で問題が起きた場合、適切でスピーディに対処できていますでしょうか。従業員は健康に働くことが出来ていますでしょうか。
組織の未成熟さは、判断や処理の不効率さや問題対処力の無さに表れてくると、経験上感じております。
上場企業として当たり前というのは、成長する会社であること、すなわち商品としての株式の価値が上がっていくことが求められます。組織の有り様は、株式の価値を上げるうえで重要なファクターを占めることになります。組織に課題がある場合、一定レベルまで解消しなくては株式上場(IPO)の審査は通りません。
ただ、ここで考えなくてはならないのは、組織の成熟にゴールがないことです。成長していくために組織は柔軟に対応できるようになっていかねばなりません。株式上場(IPO)がゴールではないのと同様に、組織の成熟もそこがゴールではありません。
上場審査のために形式だけ無理して組織を整えることも一時的にはできるかもしれませんが、それでは組織が疲弊し、想定した成長ができなくなるリスクがあります。
結局、今目の前にある大きな課題は何か、ここを見出すことが会社のステージを把握する一番の近道になるのではないかと思います。その課題は株式上場(IPO)目的においても必ず課題となるものですし、株式上場(IPO)したいと思った時に考えるというよりは、既にもう考えて行動されているのではないでしょうか。株式上場(IPO)はその延長上にあると言っても過言ではありません。