近年、株式上場を目指す企業が増えており、弊社にも上場準備支援の引き合いが増えています。各社からお話を聞くと、以下のような理由で支援先を探しているという回答が多く見受けられました。
株式上場を甘く見ているわけではないが、思っていた以上に様々な対応をとらなければならず、なかなか計画通りに進められないといった課題が共通しているように見受けられました。
本コラムでは、上場準備における業務負荷を分散しながら計画的に上場プロジェクトを推進するためのポイントについて述べます。
株式上場のためには決算早期化や内部統制構築が必須ですが、これらの業務は負荷が大きく、長期間に渡ることになります。株式上場の目的や上場することのメリットを明確にし、関係者間で共有することによってモチベーションの維持を図ることは、株式上場準備作業を推進するうえで重要であると考えられます。
株式上場にあたり、内部統制の構築、人事制度の見直しなど、改善に長い期間を要する課題も考えられます。
また、直前期、直前々期の財務諸表に対して監査法人(または公認会計士)の監査を受けることが必要なため、上場申請期の3期前には監査契約を締結する必要があります。
このように、課題解決には長い期間を要するものや、そもそも早期に着手することが必須のものもあるため、業務負荷の集中を避けることも考慮しながら早い段階からの着手が必要です。
日常業務に加え、株式上場に関する業務が増えるため、社内従業員だけではすべてをこなしきれない可能性があります。また、株式上場は法令、人事労務、会計など多くの分野において専門的知識が必要となる場面が多く発生します。
外部リソースを活用することは、さらなるコスト増になるので敬遠される企業もありますが、外部リソースやノウハウを活用することでプロジェクトが円滑に進み、結果的にコストを抑えられることも多々ありますので、プロジェクト成功のためには必要な投資として外部リソースを活用することは有用であると考えられます。
株式上場には大きなメリットがある一方で業務負荷増大などのデメリットがあることも事実です。株式上場を成功させるためにも、目的を明確化して関係者間で共有し、早期にプロジェクトを編成し、外部リソースの活用も含めた計画策定が重要であるといえます。
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