未経験で連結決算担当に配属されたら

これまで連結決算のコンサルティング業務を行っていた中で、多くのお客様から課題として以下のものを伺ってきました。

「連結決算担当者の採用、育成に苦戦している。」
「連結決算担当者の退職、異動により連結決算を分かる方がいなくなってしまった。」
「連結決算業務が一部の担当者に集中してしまっている。」

このような現状から未経験の人材を連結決算担当に配属する企業は多いのではないでしょうか。本コラムでは、未経験の方が連結決算担当に配属された場合に、まず実施していただきたい項目についてお話させていただきます。

(1)連結会計の学習

連結決算に課題を抱えているお客様の共通点の一つに、連結会計の知識不足があります。 しかしながら連結会計は単体会計の知識が前提となることやその会計基準の内容の難解であることなどから、多くの連結決算担当者は連結会計の知識を十分に習熟できていないのが現状です。例えば連結会計システムを導入している場合であっても、操作の前提として連結会計の知識が必要となります。
主な学習方法として関連書籍の購入や専門学校への通学などがありますが、円滑な連結決算の実施のためには、連結決算の学習時間の確保が必要となります。 連結会計の論点として、主に以下のものがあります。

≪連結会計の主な論点≫

  • 投資と資本の相殺
  • 当期純損益の非支配株主への按分
  • 子会社配当金の修正
  • 内部取引消去
  • 貸倒引当金調整
  • 棚卸未実現損益の消去
  • 固定資産未実現損益の消去
  • 開始仕訳
  • 連結税効果
  • 連結キャッシュ・フロー

(2)グループ会社との取引の把握

連結決算を行うには、グループ会社との取引内容及びその金額を把握する必要があります。 初めてのお客様に対して必ずヒアリングする項目の一つですが、もれなく全ての取引を回答できる連結決算担当者はあまり多くありません。
グループ会社との取引例として以下のものがあります。

≪グループ会社との取引例≫

  • 商品、製品の販売
  • 資金取引(貸付金、借入金)及びその利息
  • 有形固定資産(土地、建物など)の売買、賃貸借
  • 外部会社への支払いの立替
  • グループ会社への出向、経営指導

(3)帳票の把握

連結決算では様々な帳票を作成します。しかしながら連結決算に課題を抱えているお客様は、帳票の内容の理解が十分でない傾向があります。特に連結会計システムを導入しているお客様の場合、自動で作成される帳票の数値の根拠が理解できずに監査法人などからの問い合わせの回答に時間を要するケースが少なくありませんでした。
帳票を把握するためのポイントとして以下のものがあります。

≪帳票の確認ポイント≫

  • グループ会社から収集したデータと帳票との関連性
  • 帳票間の関連性
  • 帳票と有価証券報告書との関連性

未経験で連結決算に配属された方は慣れるまで大変かとは思いますが、連結決算には企業グループ全体の経営状況を幅広い視野で知ることができる魅力があります。
これを機に連結決算のスペシャリストを目指してみてはいかがでしょうか。