AI技術の進歩、アウトソーシングの活用など、経理業務に携わる人の数を減らしている会社が増えているように思います。しかし、業務プロセスの変更やイレギュラー事象への対応など経理業務に携わる人を完全になくすことはできないと考えられます。そのため、異動や退職に際しては業務の引継ぎが発生します。
先日、経理業務の引継ぎにかかわる機会があり、業務の引継ぎにおいて意識すべきことがあると認識しました。本コラムでは経理業務の引継ぎにおいて、前任者、後任者の双方が意識すべき点について述べます。
引き継ぐ業務が“何の目的で実施しているのか”、“なぜその業務を実施しているのか”をしっかり伝える必要があります。目的が不明確だと、単に作業をするだけになってしまい、業務簡素化、標準化などの業務改善を進める際の足かせになってしまう恐れがあります。また、業務の間違いに気づきにくくなってしまいます。
業務遂行に必要な情報をきちんと伝える必要があります。少なくとも以下に挙げた事項は必要でしょう。
今回たまたま発生した事象や今回から発生する新規事象など引継ぎ時には想定していない事象が発生した場合、どのように対応すればよいか(問い合わせ先、相談相手など)を伝える必要があります。
業務手順などで間違うとリカバリーが難しい業務があれば、特に注意すべき事項としてしっかり伝える必要があります。決算業務など、限られた時間でたくさんの処理を行う業務については特に注意が必要です。
後任者は引継ぎ期間に可能な限り自身で業務を実施すべきです。経理業務は業務を経験することで理解がすすむことが多くありますので、前任者がいる間に自身で業務を経験すべきと考えます。
後任者は経理業務の経験のない未経験者の可能性もあります。業務の引継ぎにあたっては、詳細なマニュアル、入力画面などを用意してわかりやすく伝えることがとても重要と考えられます。