アメリカでの小切手(Check)使用実務に伴うチェックポイント

日本では、ほとんど利用されることのなくなった小切手ですが、アメリカでは、小切手(Check)が多く利用されています。買掛金の支払もほとんどが小切手支払となっています。

相手先が銀行に小切手の取立を依頼していない場合、もしくはその処理過程にある場合、帳簿では出金済であるにもかかわらず、銀行側で出金処理されておらず、銀行残高と帳簿残高との差異となることがよくあります(アメリカでは、この差異をOutstanding Checkと言います)。

会計士
「銀行残高と帳簿残高に差異があるようなので、銀行勘定調整表(Bank Reconciliation Sheet)を見せてください。」
経理担当者
「親会社からの月次決算の締めが早いので、銀行勘定調整表は、まだ完了していません。。。」
会計士
「途中のものでもよいので、一度見せて頂けますか。」

再調整未完了の資料の中身を見てみると、1年以上の長期にわたり、未取付小切手(Outstanding Check)となっている項目もあるようです。

会計士
「1年以上の長期にわたり未取付小切手となっている理由は何故ですか?」
経理担当者
「相手先が小切手を銀行に取立依頼していないということだと思いますが。。。」

相手先が長期に小切手を取立依頼に出していない、ということも考えられますが、小切手が相手先に届かず、その後、再送目的で二重に振り出し、同じ取引に二重で仕訳が計上されている、という事も考えられます。この場合、最初の小切手が、無効(Void)にされないまま残っているため、二重に振り出した仕訳を振り戻すと同時に、未取付になっている小切手を無効化(Void)することが必要になります。

再調整未完了の資料の中身を見てみると、未入金差異が多くあるようです。

会計士
「未入金差異が比較的多いようですが何か理由がありますか?」

経理担当者
「今月末は、忙しくて銀行にまだ小切手を預入できていません。。。」

会計士
「Lockboxは利用していますか?」

経理担当者
「利用していません。それは何でしょうか。」

アメリカでは、小切手が多く利用されるため、Lockboxと呼ばれる銀行が管理する私書箱を設け、そこに小切手を直接送付してもらう実務があります。これにより、会社側は小切手を管理する手間を省くことができると同時に、小切手の紛失や横領のリスクを防ぐことができます。Lockboxを利用していないアメリカ子会社があれば、利用を検討する価値があります。

小切手を利用する慣習の違いからか、日本の親会社で、アメリカの子会社に対して銀行勘定調整表の提出を求め、モニタリングする会社は少ないようです。国が異なるとそれぞれ実務慣行が異なります。アメリカに子会社がある場合は、一度銀行勘定調整表を見てみるのも良いかもしれません。