日本では、ほとんど利用されることのなくなった小切手ですが、アメリカでは、小切手(Check)が多く利用されています。買掛金の支払もほとんどが小切手支払となっています。
相手先が銀行に小切手の取立を依頼していない場合、もしくはその処理過程にある場合、帳簿では出金済であるにもかかわらず、銀行側で出金処理されておらず、銀行残高と帳簿残高との差異となることがよくあります(アメリカでは、この差異をOutstanding Checkと言います)。
再調整未完了の資料の中身を見てみると、1年以上の長期にわたり、未取付小切手(Outstanding Check)となっている項目もあるようです。
相手先が長期に小切手を取立依頼に出していない、ということも考えられますが、小切手が相手先に届かず、その後、再送目的で二重に振り出し、同じ取引に二重で仕訳が計上されている、という事も考えられます。この場合、最初の小切手が、無効(Void)にされないまま残っているため、二重に振り出した仕訳を振り戻すと同時に、未取付になっている小切手を無効化(Void)することが必要になります。
再調整未完了の資料の中身を見てみると、未入金差異が多くあるようです。
アメリカでは、小切手が多く利用されるため、Lockboxと呼ばれる銀行が管理する私書箱を設け、そこに小切手を直接送付してもらう実務があります。これにより、会社側は小切手を管理する手間を省くことができると同時に、小切手の紛失や横領のリスクを防ぐことができます。Lockboxを利用していないアメリカ子会社があれば、利用を検討する価値があります。
小切手を利用する慣習の違いからか、日本の親会社で、アメリカの子会社に対して銀行勘定調整表の提出を求め、モニタリングする会社は少ないようです。国が異なるとそれぞれ実務慣行が異なります。アメリカに子会社がある場合は、一度銀行勘定調整表を見てみるのも良いかもしれません。
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