M&Aの検討段階において、財務や法務に関するデューディリジェンス(DD)を行うことが一般的になってきましたが、DDの重要性を再認識した事例を紹介したいと思います。
保管倉庫で現物を確認すると、オシャレだが実用性に懸念がある製品が大量に保管されていた。
少し嫌な予感がしながら、エビデンスを確認させてもらうよう依頼をしてみた。
モノが売れればロイヤリティを払う販売ロイヤリティではなく、モノを製造すればロイヤリティを払う製造ロイヤリティの契約を締結していたために、売れるかどうかよりもデザイナー先生がつくりたいモノを製造するというインセンティブが働き、結果として滞留在庫が異常に発生するといった状況に陥っていたのです。
笑い話のようにも聞こえますが、このように社長の個人的なつながりからの契約やM&A案件において、契約内容や投資計画の内部チェックが甘くなってしまい、早い段階での棚卸評価減計上や減損計上に至ったケースをいくつも見てきました。社長案件といえども、慎重な対応が必要ですし、とくにM&A案件ではDDを実施して詳細に契約内容などを確認することが必要です。