取締役のスキルマトリックスの開示がスタート!

最近、クライアントや公認会計士、弁護士などのプロフェッショナルの方々との会話のなかでよく出てくる話題に、「取締役のスキルマトリックス」があります。2021年6月に改訂されたコーポレートガバナンス・コードにおいて、「取締役のスキルマトリックス」の開示が求められるようになったからです。スキルマトリックスとは、取締役会に必要なスキルを分野ごとに表にまとめ、どの取締役がどの分野について知見や専門性を備えているかを示した表のことをいいます(経済産業省の「社外取締役の在り方に関する実務指針(社外取締役ガイドライン)」による)。

クライアント
改訂コーポレートガバナンス・コードにより、取締役のスキル一覧を開示しなければいけなくなり、社内でも議論がなされていましたが、今さらですが開示しなければいけないスキルというのは決まっているのでしょうか。
ぶっちー
まずは、御社の経営戦略に照らして取締役に求めるスキルを特定することが必要になります。それは、いわば「私たちはこんなスキルを重視して取締役を選任しています」という開示とも考えられます。
BBSでは、(1)経営全般、経営経験、(2)法務、リスク管理、内部統制、(3)財務、会計、(4)ITソフトウェア・システム開発/品質保証、(5)人事、労務、人財開発、(6)マーケティング、セールス、(7)業界経験・知見、(8)国際ビジネス、海外経験の8つのスキルを特定して開示しています。
クライアント
まずは自分たちで必要なスキルを特定することが必要なんですね。であれば、代表取締役社長(以下、社長)はすべてのスキルに〇が付いていないといけないのでしょうか。
ぶっちー
必ずしも社長にすべてのスキルに〇が付くことが必要ということではありません。取締役会の全体として知識、経験、能力のバランス、多様性が保たれて監督機能を発揮できれば問題ないと考えられます。
クライアント
なるほど。各取締役の〇の数が多い少ないと変な忖度が入りそうで心配しておりました。弊社にとってのあるべき取締役会とは何かという観点から、独立社外取締役を含めた取締役の総人数や求めるスキルなどを改めて考え直すには良い機会ですね。

各企業では、他社事例も参考にしながら、対応に取り組まれているようです。スキルも重要ですが、昨今の会計不正や品質検査不正を見るにつけ、個人的には取締役にとって最も重要な資質である「Integrity(誠実性)」に〇が付くかどうかをぜひ追加してほしいと思う今日この頃です。