コンサルティング会社がコンサルティング業務を外部に依頼のなぞ

コンサルティング会社から、コンサルティング業務の依頼を受けることがあります。専門分野が違うのであればあり得ますが、専門分野が同じなのにコンサルティング業務の依頼を受けることがあるのです。私も最初は不思議でしたので、その内情をお話ししようと思います。

コンサル会社の管理部長
新しい収益認識基準への対応についてお手伝いいただけませんか。
ぶっちー
もちろんご依頼があればお手伝いさせていただきますが、貴社には優秀なCPA*が多数いらっしゃるでしょうから、外部に依頼されずに貴社内で十分に対応可能なのではないでしょうか。
コンサル会社の管理部長
ご指摘の通り、CPAが在籍しておりますので戦力的には内部で対応可能なのですが・・・。
ぶっちー
担当されている案件がいっぱいで、内部プロジェクトに手が回らないという状況でしょうか?

コンサル会社の管理部長
実は、内部のコンサル部門のCPAを内部プロジェクトに使うと、高い内部振替レートで請求されてしまうので、コスト高になってプロジェクトとしての予算オーバーになってしまうのです。コンサルCPAは外部向けの仕事をすることを想定して予算が作成されていますので、内部プロジェクトで内部CPAを希望しても高い外部売価で振替されてしまうのです・・・。
ぶっちー
なるほど、内部振替単価で内部CPAを使って内部プロジェクトを実施するより、外部コンサルを使った方が内部プロジェクト実施部門の部門損益が良くなるのですね。内部プロジェクトをうまく成功させるためには、会社内部の事業に詳しい内部CPAをアサインしたほうが品質的にも工数的にも良いと思われますが、管理部門とコンサル部門の部分最適で考えますと、内部プロジェクトに内部CPAはアサインできないですね。
しかし、貴社の全体最適を考えますと、予算作成段階から内部プロジェクトへのアサインを想定して、各部の売上とコストを割当しておくのがよいかもしれません。

この例は、コンサルティング会社に限った話ではなくて、どの企業も大なり小なり抱えられている問題だと思います。投資家も経営者も売上拡大を重視する傾向が強いと、外部向けに稼げる人員は最大限外部売上を拡大することに注力することになりますが、最終利益の拡大に視点を変えると、もしかしたら外部向け人材を内部プロジェクトにアサインするという判断もでてくるかもしれません。予算設定や業績評価において、部門を横断したより上位の目線での全体最適意思決定が求められてくると思います。言うは易く行うは難しですが・・・。

*Certified Public Accountant(公認会計士)