事業部制度における内部振替価格の悩み

各事業部間に競争意識を持たせて活性化を図るために事業部制度を採用されている会社は多いと思いますが、大きな悩みの一つが内部振替価格の設定ではないでしょうか。内部振替価格は年初から1年間固定で採用されるケースが多いことから、3月決算会社ですと、予算検討に入られたこのタイミングで検討が必要となってきます。

A社の営業部長
わが社のa-1製品は、他社に比べて製造コストが高く、製造部門から購入する内部振替価格が高いのですが、売価にはなかなか転嫁できないので営業部門の利益幅は低くなってしまいます。そのため、営業部門は業績が悪いとの社内評価により、モチベーションが下がって困っています。
B社の製造部長
わが社のb-1製品は品質ではトップクラスですが、営業力が弱いため売価を下げざるを得なくなり、営業部への内部振替価格が低く抑えられ、製造部門の利益幅が低くなってしまいます。そのため、製造部門は業績が悪いとの社内評価により、モチベーションが下がって困っています。

A社のケースでは、a-1製品の製造部門の努力不足により、営業部門の業績評価にマイナスの影響があるという訴えであり、B社のケースでは、b-1製品の営業部門の努力不足により、製造部門の業績評価にマイナスの影響があるという訴えとなっています。

こういった相談を受けた場合には、営業部長及び製造部長を統括しているより上位の事業部長の方に次のようにお話しするようにしています。

ぶっちー
それぞれの状況をよく聞きますと、そもそも業績評価に使われる内部振替価格の設定がうまくいっていないケースが多いようです。
例えば単純なケースで、製造コストが80のものを売価100で売れるとして、粗利が100-80=20の場合を考えてみましょう。
製造部門と営業部門でその粗利20をどのように享受するのかは、マネジメントの方針次第ですが、もし、10ずつ利益を享受するように内部振替価格を90に設定するのであれば、予算作成時にも内部振替価格90をもとにして、各部も予算を設定すべきとなります。
他社事例では、この内部振替価格と予算がうまく整合しておらず(例えば、90でしか内部に売れないのに、110で売らないと達成できないような予算が割り振られてしまう)、そのことによって業績評価への不満が出てきているケースが多く見られます。ぜひ一度ご確認ください。

自分たちの努力で変更ができない内部振替価格については、予算作成時に適切に考慮することで、業績評価への不満は下げられると思います。
来期の予算作成時にはぜひ考慮していただいて、各部門の方々のモチベーションが下がらないようにしていただければ幸いです。