電子取引対応はスムーズに実施できていますか?

<はじめに>

電子帳簿保存法の電子取引対応の宥恕措置が2023年12月で終わり、2024年1月から電子取引対応を開始したというケースが多いと思います。
皆様、状況はいかがでしょうか?

「ファイル名により検索する方法で対応しているが、不可能ではないものの、とても大変」という声をよく聞きます。
同時に、「電子取引対応を機に、保存すべきものが大量に増えた」という声も聞きます。
こうしたお悩みに対して、「ITによる自動化」「電子取引の格納場所」「法要件」という観点から、対応を考えてみたいと思います。

1.ITによる自動化の検討

ファイル名に検索項目を付与する作業は、細かい作業であり、完全な手作業で行うと、煩雑なうえミスが起きやすいといえます。そして、そのチェックも目視で行うと、やはり非常に時間がかかる作業になります。
領収書などの確証が紙の状態だと、ITによる自動化を実現しにくいのですが、せっかくデータの状態で保持しているので、ITによる何らかの自動化の仕組みを考えてはいかがでしょうか?
利便性が格段に向上すると思われます。
ITによる自動化を考える場合、文書管理システムを導入しようとすると、投資額も大きくなります。しかし、もう少し投資額を抑えた対応方法もあります。
対応方法は、例えば下記が考えられます。

  • 最小限のIT投資で、煩雑な作業を一定程度自動化する方法
  • 文書管理システムを購入し、自動化を進め、社内のDX化を進める方法

自社に最適な方法をご検討ください。

2.格納場所の検討

また、ファイルサーバーに格納することは業務上効率が良いのかという点も、改めて検討してみてはいかがでしょうか?
どこに格納すると業務効率が向上するのか、どのような格納状態だと業務効率が低下するのかを意識して、格納の仕方について検討してみてはいかがでしょうか?

3.法要件の再確認

さらに、法要件についての確認も推奨いたします。
法改正によって、何が変わって何が変わっていないのかを意識して、法要件を把握していただきたいと思います。
筆者のこれまでの経験では、法要件違反をしているお客様より、法要件を過大に解釈して、多くのことをやり過ぎているお客様の方が多い印象があります。
一方で、ファイル名による検索には、法要件上とくに注意を払うべきポイントがありますが、看過されているケースが多いと思われます。

<まとめ>

「電子取引の電子保存の対応により、業務が大変になった。法律が何を意図しているのかわからない。何でこんな法改正をしたんだ」とおっしゃるケースもあります。
一方で、「今回の法改正は、デジタル化を進めるために、業務を見直す良いきっかけになった」とおっしゃるケースもあります。前者より後者になるように、ぜひ、今一度自社の業務を見直していただければと思います。
最後に、このような課題への解決策をセミナーなどで詳細に説明したいと思っていますので、よろしくお願いいたします。