電子帳簿保存法対応支援
2020年12月10日(木)に税制改正の大綱が公表されました。
その中で、ペーパーレスに関係が深い2点について触れたいと思います。一つが電子帳簿保存法の改正、もう一つがDX関連税制です。(DX:デジタル技術を活用した企業改革)
まず、電子帳簿保存法については、特に、スキャナ保存についての要件が大きく変わりました。「要件緩和」と「違反した場合の罰則等」の2つが骨子となっています。
(1)国税関係書類スキャナ保存制度
(2)電子取引データ保存制度
(3)スキャナ保存、電子取引データ保存に係る措置
従前は、改ざん防止のために様々な要件がありましたが、これらの要件が緩和され、その一方で、仮装・隠蔽等による修正申告による重加算税が課された場合、加重に課されるとのことです。
つまり、これまでは税務要件に従ったプロセスについて対応する責任が求められていましたが、プロセスの詳細については各企業に委ねられる代わりに、結果に対する責任が求められることになったと言えるかと思います。
例えば、PDF等の画像データは、ツールを使えば簡単に改ざんできます。こうした改ざん防止のために、タイムスタンプの要件等がありましたが、要件が無くなるからと言って何もしなくても良いわけではありません。改ざんが起こってしまった場合、重加算税に本税の10%が課される可能性があるとのことです。
適正な記帳がされるために「こうしなさい」と言われその通りするのでは無く、自ら考えて、自ら構築する必要が出てきたと言えます。
このコラムでも、「ペーパーレス業務の構築=内部統制を構築である」とお伝えしていましたが、更にその責任が増したと言えるかと思います。
次に、ペーパーレスの観点からは、DXを促進するための税制改正についてです。
産業競争力強化法において、生産性の向上等の「事業適応計画」(仮称)として認定されると、その計画によりシステムが構築された場合、税制面の恩恵を受けられ得ることになるとのことです。「つながる」仕組みの構築の促進と言う趣旨のため、クラウドシステムのみが対象となるようです。
以前から、セミナー等で、「ペーパーレス」とは、自社内だけで無く、他社も含めてデータがシームレスに連携することにより生産性が向上されることとお伝えしていましたが、その姿に向けて税制面でのバックアップが設けられると思われます。
総じて、ペーパーレス化に向けて主体的に取り組む企業にとっては、大いに期待が持てる内容だと思います。