今まで連結会計システム運用上の個別会計システム連携に関するいくつかの課題、その業務的な解決策を提示して来ましたが、最後に連結会計システム構築上の解決策について検討します。
今までの考察から連結会計システムに必要な情報をもとに個別会計システムの運用設計をしていくと、現場レベルでの負荷が高まる可能性があるという点はご理解いただいたと思います。ここではある程度それをシステム的に解消する方法を提示します。
結局のところ個別会計システムから抽出される情報は連結会計システムにとっては不完全であり、それを無理に個別会計システム側で加工をしようとすれば業務運用上の無理が生じてしまう可能性があります。そこで個別会計システムと連結会計システムの中間にグループ企業情報DBを構築し、その情報に不足があれば連結財務諸表作成観点で加工する仕組みを構築することが今後に向けた一つの解決方法と言えます。
このDBはある程度明細に近い情報の器とすることも可能であり、それにより明細レベルでの数値検証にも利用可能なものとするべきです。
グループ各社の業務運用の負荷を著しく高めない範囲であれば、個別会計システムの設計を連結会計システムベースの設計に変更することも一つの有効な手段であることは間違いありません。(セグメントの設定、勘定科目の設定、勘定科目の増減明細の設定など)
実際の個別会計システム導入時には、まずは連結会計システムが求める情報は何かという視点と業務負荷の増大という観点のバランスをみながら、これらの検討をシステム構築の要件定義段階で行うことをお勧めします。
最後に会計システム導入時には多くの企業は外部のベンダーに委託するケースが多いと思われますが、その際重要なことは、連結会計も含め会計業務を俯瞰できるSEがいるベンダーに依頼すべきということです。個別会計に詳しい会計SEは多く存在しますが、その情報が連結会計システムにどのようにつながっているのか充分理解していない上、連結決算処理内容も理解していないSEがほとんどと言っても過言ではありません。
従来からの関係を重視したベンダー選定もある種のメリットがありますが、特に会計システム関連のベンダー選定に関してはゼロベースでの検討をお勧めしたいと思います。