連結財務諸表作成上の大きな課題として個別財務諸表作成システムでは通常存在しないデータの取得が求められるケースがあります。
主には連結キャッシュフロー計算書作成時に必要な科目のフロー情報です。
ここでは連結キャッシュフロー計算書作成のための個別会計データ連携の課題をテーマに検討していきます。
まず連結キャッシュフロー計算書を作成するためには、グループ各社から以下の情報を取得する必要があります。
連結キャッシュフロー計算書を作成するためには個別会計科目増減明細が必要になります。
具体的には資金調達、資金運用、固定資産等を考慮するために個別会計上の増減事由を把握しなければなりません。
連結キャッシュロー計算書作成上、連結キャッシュフローの消去仕訳を作成する必要がありますが、(1)の増減情報が連結グループ内部の数字なのか外部の数字なのかを分離把握しなければなりません。
連結キャッシュフロー計算書を作成する際にはある特定科目についてはフローの数値情報とさらにそれがグループ内部なのか外部なのかを判別できないと作成できません。
しかし多くの個別会計システムではそもそもフロー項目を勘定科目マスターとして設定することが少ないです。
例えば、建物という勘定科目のみが勘定科目マスターに設定されその科目が増加(借方)しようが減少(貸方)しようが、常に建物という勘定科目のみで処理がなされるケースが多いです。 もし可能であれば個別会計システムの勘定科目マスターを確認してみてください。
このような個別会計システムの設定がなされていると、上記の(1)、(2)の情報取得が困難であることは言うまでもありません。
ではこの課題を解決するためにどうしたら良いでしょうか?
また増減情報がグループ内部のデータなのか外部のデータなのかという情報取得の必要もありますので、上記の ①、②どちらの方法にも共通での取引先コードも必ず入力するように運用を徹底する必要があるわけです。
見ていただいたように上記の解決策は個別会計システム入力者の負荷を著しく上げてしまう可能性があります。
実際の伝票入力者のスキルがあまり高くないケースを考えた場合は、かえって誤ったデータが親会社に提出されてしまうリスクも存在しますので、各社の経理処理のスキルレベルに合わせた個別会計システムの運用設計をするほかありません。