最終回の今回は『3. Business Process (業務プロセス)』と『4. IT System(情報システム)』について、お話しします。
まず経営管理における『業務プロセス』について、最も苦労されている業務の一つが予算編成や標準原価の策定などの、いわゆる計画値策定業務ではないでしょうか。本来予算とは当該部門・企業等の目標値であり、正確な予想をすることが目的ではありません。何故か多くの日本企業では、この予算編成に多大な時間と人員をかけているのが現状です。特に下記のような症状があれば要注意です。
予算の本質は事業部長がコミットした収益と、その収益を獲得するために許される費用にすぎません。目指す収益さえ獲得するなら、何にいくら使おうがそれは事業部長の裁量と責任なのです。ましてや経理部門や経営企画部門がこと細かに指示するような代物でもありません。このことをもう一度頭に入れて、より効率的な予算編成を実施しましょう。
もう一つ多くの方が苦労されているプロセスが、毎月の経営会議等の資料、主に予実管理の帳票作成業務です。特に多くのEXCELを収集、切り貼りを行い、やっとの思いで当該資料を作成している方の苦労は、なぜか経営者には理解されていないようです。ここでも下記の症状が出ている企業は、自社の会議資料作成業務を再考してください。
無駄な紙の量を減らし、経営上の問題を迅速に抽出しその原因を取り除くことに力を注ぐことが重要です。
このような経営管理にはいくつかの労力のかかる業務プロセスが存在します。これらを効率的に且つ安全に運用するための道具が、情報システムです。経営管理のためのシステムというとなんだか複雑そうですが、それを使う側から見ればそんなに難しい代物ではありません。大きくは5つの機能に分けて考えると理解しやすいでしょう。詳細は図4に記載しますが、易しく表現すると、以下のようになります。
情報システム部門以外の方は、このような理解で十分です。これらの機能をもったソフトウェアを、世間ではBIツールやEPMツールと呼ばれていますが、言葉の定義があいまいな上、ソフトウェアによって可能なことに微妙な差があります。その差が後々大きな追加投資になることも珍しいことではないため、ソフトウェア選びも慎重に行う必要があります。
昨今の情報通信技術の進歩は目覚ましく、大量のデータを解析することで今まで見えなかった傾向等を把握することができるようになったことは事実です。しかし情報システムをいくら充実させても、今までお話しした『方法論』、『業績評価指標』、『業務プロセス』が必要十分でなければ、有効性の高い経営管理が急に実現できるわけではありません。経営管理業務をシステム化する際は、くれぐれも『仏作って魂入れず』とならないよう気を付けてください。