企業規模の大小に関わらず、海外の販売比率、生産比率が高まっています。実際のオペレーションをみてみると、以下のようなケースがみられます。
企業の生産・販売・調達という企業オペレーションそのものが海外にシフトしてきており、それに伴い業務判断や意思決定の内容も変わってきています。こうした変化は、「グローバル化の深化」が進んでいるといえできます。
世界各地の拠点では、日々オペレーションを行っています。販売・生産・調達等のオペレーションに関わる情報が世界各地で日々発生し、分散管理されているといえます。これまでは、法人単位に閉じたオペレーションを行い、その中で業務上の意思決定を行っていても大きな問題にならないケースが多かったと考えられます。
これまでグループ経営を支えてきたのは連結予算・実績の管理です。グループの経営目標に対し、各社の予算を円換算して連結予算を作ります。また、各社の実績を収集し円換算して月次連結を行い、会社別予実、連結予実をまとめます。翌月半ばに業績会議で報告するというのが一般的な運用と考えられます。つまり、グループ経営とは、各拠点活動の「結果(月次損益)をモニタリング」することでありました。
しかし、事業形態にもよりますが、グローバル化の深化が進んでくると、一般に、拠点では判断しきれない課題が多くなります。言い換えると、本社が状況判断し、全体最適の視点から「都度、意思決定」すべきテーマが多くなります。そのため、月次財務諸表とその予実対比だけでは対応しきれなくなります。マネジメント要件の変化に、情報管理が追いつかない状況が発生します。
本社の判断項目が多くなると、これまでとは内容もタイミングも異なる「様々な情報要求」がでてきます。しかし、多くの企業では、「定期的に結果をモニタリング」する仕組みの整備を主に進めてきました。そのため、手元にある情報では状況判断できずに、意思決定の都度、必要な情報をExcel等で収集し報告を行うという自転車操業的な対応が続くことになります。こうした対応を継続すると以下の3つのリスクに直面することになります。
これまで考えてきたように、グローバル化の深化の中でマネジメント要件が変わり、多岐に渡る情報ニーズへの対応が求められています。今まさに、グループ経営に資する情報基盤の整備が求められているといえます。多くの企業で、「経営実態の見える化」「管理の効率化」が、グループ経営の基本課題としてクローズアップされてきているといえます。