今回は、「帳簿間の相互関連性の確保」と「見読可能性の確保」の要件が求める帳簿記載項目を明らかにして、システム対応策を考察します。
帳簿間の相互関連性の確保要件は、2つの国税関係帳簿の記録が転記などを通じて関連する場合に、国税関係帳簿間の関連性を確認できる情報を記録することなどの方法によって、相互に関連性が確認できることを求めるものです。この要件は、一方の国税関係帳簿を紙保管する場合にも適用されます。
帳簿間の相互関連性を確保する方法に関しては、取扱通達に次の2つの方法が示され、Q&Aに3つの例示が掲載されています(図3-1参照)。
帳簿データの記載項目を検討する際には、帳簿体系を紐解いて、帳簿間の関連性がどのように維持されているのか、関連性の記録に欠落が無いかどうかなどを確認し、帳簿間の相互関連性の確認方法や関連性を記録する項目、データ設定方法を決定することが重要です。
次は、コードの取扱いです。システムでは通常、トランザクションデータに勘定科目コードや取引先コードのようなコード値を保持し、マスタデータに名称などのコード内容を保持しています。電子帳簿保存法対象の帳簿データがコード値のみを記録・保存している場合には、帳簿作成時点の関連マスタデータを帳簿保存期間にわたって保存することが求められます。国税庁が公表した申請事例によりますと、コード値のみの保存では「単なる数字の羅列になってしまい」、「保存するデータは整然とした形式及び明りょうな状態で速やかに出力することができるようにする」要件(見読可能性の確保要件)を満たせないことが明らかにされています。
帳簿データの記載項目を検討する際には、マスタ内容のデータ保存を帳簿データとマスタデータのどちらで実現するかを決定する必要があります。
帳簿データの記載項目を充足させる対策の一案として、データ連携システムを活用して帳簿データを作成する方法があります。
たとえば、業務システムの個別データに基づいてデータ連携システムで記載項目を充足させて帳簿データを完成するシステム体系が考えられます。データ連携システムで帳簿間の相互関連性を確認するための一連番号やマスタ名称を帳簿データに設定するのです。
図3-2、図3-3は、第2回の電子帳簿保存システムを取り入れたシステム体系にデータ連携システムを加えた体系を例示しています。業務システムおよびデータ連携システムにおける電子帳簿の記録・作成から電子帳簿保存システムにおける保存まで、一貫してシステムによりデータが作成される体系を構築するイメージです。