グループの管理は、 3階層の管理基盤で構成されていると考えられます。
1つ目は、購買・生産・販売といった事業オペレーションそのものを支える「基幹業務管理基盤」です。
2つ目は、法人の経営管理を支える「単体経営管理基盤」です。
そして、3つ目がグループ経営を支える「連結経営管理基盤」です。
グループ各社の情報を束ね、グループ経営の意思決定を支えるのが、「連結経営管理基盤」です。
グループ経営、連結経営の重要性は以前から認識されてきたにも関わらず、整備が遅れてきた原因はいくつかあります。ここでは、情報化の側面から考えてみます。90年代後半から今日に至るまで、ERPの導入がIT化の柱となってきました。ERPは、1つの法人における販売・購買・生産といった基幹業務と会計をリアルタイム統合し、経営の迅速化を図ることを基本コンセプトにしています。このこと自体は、大変魅力的なことです。しかし、ERPは、会社コードを頂点としたデータ構造であるため、法人を横断的に見る本社の業務や情報管理については、十分カバーできません。これまでERPが企業の情報化の柱でした。ERPに投資すればグループ各社の情報化は進みますが、グループ全体の状況把握や本社業務の効率化は思ったほど進んでいないケースが多く見受けられます。
連結経営管理基盤とERPは守備範囲が異なるシステムであり、補完関係にあります。
グループ経営を運営していくためには、業績情報(予算・見込・実績)、資金情報(資金計画・資金繰り)、製品別販売情報、製品別原価情報、製品別採算情報などの様々な情報をタイムリーに把握し、リスク対応の意思決定が必要となります。つまり、「多様な情報への対応」が求められます。また、それらの多様な情報が、いつ、どのような目的で使われるのかによって、情報のスピード、粒度、精度が変わってくるため、「データ企画」が重要となります。さらに、収集する各国からの情報は、現地通貨建てであり、勘定科目を初めとするコードもバラバラであり、場合によっては計算根拠も異なるという状況が考えられます。そのため、多通貨対応、コード統一、データの比較可能性確保についての「データ処理要件」を明確化する必要があります。
多様な情報要求への対応を可能にする「データ企画」「データ処理要件」が必要であり、連結経営管理基盤の全体を俯瞰した「自社の目指すべき姿(グランドデザイン)」を明確化する必要があります。