第1回 連結経営管理基盤構築の必要性

グローバル化の深化

日本の製造業を見ると、海外に製造・販売拠点を持たない会社はありません。製造面では、国内拠点の縮小と海外移管、国際分業体制の定着化等により海外生産比率が急拡大しています。また販売面でも、日本市場の縮小、新興国市場の台頭の中で、海外販売比率の拡大が進んでいます。日本企業の事業基盤が更に海外にシフトしています。そうした中で、事業オペレーションだけでなく多くのコントロール機能も海外に移管されてきています。

日本企業において、グローバル化が深化してきていると言えます。

グローバル化の深化の中で、マネジメントの要件が変わった

事業基盤の海外シフトに伴い、経営の意思決定の内容(マネジメントの要件)も大きく変わってきています。本社における管理や意思決定を行う上で、的確かつタイムリーに「グループの経営実態の把握」が必須となってきています。原材料・為替相場の変動の影響、中国、東南アジアの賃金の引き上げの原価への影響、移転価格の改定等の問題への対応を検討していくためには、現地通貨建ての原価、チャージレートといった情報に基づき分析する必要が出てきています。また、グループの資金効率化と効率的な資金調達のためには、グループ各社の資金バランスを把握する必要があります。月次決算をベースとした業績報告だけでは、限界に直面することになります。

グローバル化の深化の中で、マネジメントの要件が変わり、情報ニーズは多様化しています。

連結経営管理基盤の必要性

マネジメントの要件が変わり、多岐に渡る情報が求められています。しかし、グループ経営のための情報を体系的に整備し、活用できている会社は多くありません。現実には、多くの会社で、予算・見込み、資金、原価を初めとする多岐に渡る情報を都度Excelで収集し、分析しています。そのため、情報収集・分析の工数、リードタイムがかかり、情報の鮮度が低下しています。情報要求に対し、収集可能なデータをかき集めて何とか報告しているという状況では、情報品質(精度、信頼性)の保証が困難になってしまいます。信頼性の低い情報にもとづいて判断を行うことで「経営リスク」が高まっているとも言えます。

経営リスクを低減するためにも、「経営実態の見える化」と「管理の効率化」が焦眉の課題であり、「連結経営管理基盤」の整備が、今まさに求められていると言えます。

グローバルな企業活動を、掌に乗せる