全研本社株式会社
設立:1978年(昭和53年)7月14日
本社所在地:東京都新宿区西新宿6-18-1 住友不動産新宿セントラルパークタワー
従業員数(連結):443名(2021年6月30日現在)
事業内容:IT事業(コンテンツマーケティング事業、メディア事業、海外IT人材事業、AI事業)、語学事業(法人向け語学研修事業、留学斡旋事業、英会話スクール事業、日本語教育事業)、不動産事業
全研本社株式会社
取締役 管理本部長
公認会計士
全研本社株式会社
管理本部 経理部長
公認会計士
→社内のリソースのみでIPOに向けた社内の制度や体制を整備するのは困難
→パートナーには全体を俯瞰して問題点を洗い出し、有効な解決策を提案してほしい
→各現場にコミットし、業務が定着するまでサポートしてほしい
→お客様と同じ大手監査法人出身の公認会計士コンサルタントを担当者としてアサイン
→業務プロセスの整備や文書・マニュアルの作成はもとより、お客様担当者へのレクチャーなどにも柔軟に対応
→プロジェクト進行における課題は早期に改善
1978年に設立され、現在は「IT」「語学」「不動産」の3セグメントでビジネスを拡大している全研本社株式会社様。社長が初代の吉澤信男氏から現在の林順之亮氏に交代した2014年6月に、将来の成長を見据えた目標の一つとして株式上場を掲げました。BBSは、その取り組みが本格化した2018年11月から支援を開始し、2021年6月16日のマザーズ上場に貢献。社内管理体制のさらなる強化や、業務・資本提携、M&Aの検討を進める同社を継続的にサポートしています。
IT、語学、不動産の3つのセグメントで事業を推進する全研本社様は、これまで着実に業績を伸長させてきました。主力のITセグメントでは、「コンテンツマーケティング事業」「メディア事業」「海外IT人材事業」「AI事業」を展開しています。
コンテンツマーケティング事業とメディア事業は、独自のWebマーケティング戦略に基づき、顧客のニーズに沿った集客を支援するサービスです。コンサルティングによって顧客の強みと市場の接点を明確にしたうえで、訴求力のあるコンテンツやメディアを制作・運営しています。同社では、こうしたサービスを提供するために、社内編集者約130名、専門知識を持つ登録ライター約1,000名という制作体制を構築するとともに、リーガルチェック体制も社内に整備しています。
また、海外IT人材事業においては、優秀なIT人材とIT人材を必要とする日本企業のマッチングビジネスを推進。インド・ベンガルールの大学と提携して人材を確保するだけでなく、現地で日本語教育も実施し、IT人材の採用に課題を抱える顧客を支援しています。
ITセグメントのもう一つの事業であるAI事業では、コールセンターなどの業務を効率化するソリューションを提供しています。2021年には新型コロナウイルスワクチン接種の予約システムを短期間で開発し、150以上の自治体に提供するなど、社会課題の解決につながるシステムの開発にも注力しています。
こうしたIT分野の事業を中核に据えて成長を実現していくためには、各事業の担い手である優秀な人材の採用が重要な要素になります。そこで、同社社長に現在の林順之亮氏が就任した2014年、株式上場で企業としての認知度や信頼度を高め、人材採用を強化していくことを新たな目標に設定。2017年から本格的にIPOプロジェクトを開始しました。そして、このプロジェクトにおいてリーダーを務めてきたのが、取締役 管理本部長の鷲谷将樹氏です。
当初は鷲谷氏が経営企画部門のメンバーに指示を出し、上場に向けた社内の制度や体制の整備を進めました。これによって、各部門では上場企業に求められる業務プロセスが整備されていったといいます。ただ、上場までに対応すべき事項は多岐にわたるため、部門によって進捗が異なるケースがあったほか、プロセス整備までに複数回の指示と確認が必要なケースもあり、社内のリソースのみでプロジェクトを進めるのは困難でした。
「社内の人的リソースは限られていましたから、さまざまなネットワークを頼って証券会社や銀行、監査法人にお声がけして、『IPOに向けて一緒に対応してもらえるパートナー、現場にしっかり張り付いて必要な業務を根付かせてくれるパートナーを紹介してほしい』と依頼しました」(鷲谷氏)
紹介されたすべてのパートナー候補と面談した鷲谷氏。そのなかの1社がBBSでした。BBSからは、実際の支援を見据えてアサインした公認会計士資格を持つコンサルタントが面談に参加し、経歴・経験や具体的な支援内容と進め方を説明しました。
「当社の考えや課題を理解して、会計監査はもとより、IPO後の業務運営まで視野に入れて対応してもらえることが面談を通じてイメージできました。BBSの提案内容から一緒にやっていける安心感と信頼感を得られたことが、パートナー選定の決め手になりました」(鷲谷氏)
BBSが評価された大きな要因の一つが、鷲谷氏と同じ大手監査法人出身の公認会計士コンサルタントを担当者としてアサインしたことです。
監査など各種の手続きを行う際、同様の事柄を指していても監査法人によって使う言葉は異なります。そのため、出身監査法人が異なると、同じ言葉で会話してもそれぞれの理解に差が生じ、業務に支障をきたすこともあります。その点、同じ監査法人の出身者同士なら、使う言葉の意味も、文書や業務の確認方法も同じなため、IPOプロジェクトをスムーズに進行することができます。
「上場準備においては内部管理体制を整備して、さまざまなルールを決めることになりますが、BBSには多くを説明しなくても“阿吽の呼吸”で齟齬なく進めることができました」(鷲谷氏)
BBSは、大手監査法人出身で上場準備会社の監査経験が豊富な公認会計士や、IPO支援において豊富な経験を持つコンサルタントを積極的に採用しています。“クライアントと共通言語で会話できる人材”を担当者にアサインすることで、効率的なIPO支援サービスを提供しています。
こうしてBBSは、2018年11月からサポートを開始しました。まずは、月次決算を行うために取引先各社に対する債権・債務残高の把握・管理プロセスの整備に着手。社内マニュアルの作成や各部門の担当者への内容説明など、プロセスの定着化も支援しました。
債権・債務については、取引先との間で会計処理のルールが異なり、双方の認識に差異が生じることがあります。そこで、各取引先に債権・債務に関する確認状を送付し、回答内容を確認して差異を調整する業務も担当しました。
「簡単な説明だけでやるべきことを察して進めてもらえることは、とても頼もしかった」と話すのは、2019年1月に経理部長に就任し、鷲谷氏とともにプロジェクトをリードしてきた業天邦明氏です。業天氏も、鷲谷氏と同じ大手監査法人で経験を積んできた方です。
「難しいオーダーも多かったと思いますが、本当によく応えてくれました」という鷲谷氏。なかでも印象に残っているのが「一度だけ、BBSの対応が私の意図と異なっていた時」だといいます。キャッシュフロー計算書の作成を鷲谷氏から依頼されたのですが、その精度が要求レベルに達していなかったのです。
「ただ、そのことを伝えると、すぐに体制を組み直して要望に応えてくれました。そのスピーディな姿勢は評価できますし、課題もクリアされたことで、結果的に信頼が高まりました」(鷲谷氏)
同社は当初、2020年9月の上場を目標にしており、2019年9月の株主総会終了後から主幹事証券会社による引受審査が始まりました。この時のことを業天氏は「上場への大きな一歩を踏み出したと感じた」と話します。
審査にあたってBBSは、全研本社様の担当者が、証券会社の書面による質問や面談に的確に回答できるよう、整備したマニュアル類の内容について再度レクチャーを実施。当事者の視点に立って、一つひとつの業務の意義と内容、また個々の業務と全体との関連性なども含めて説明しました。その後、上場申請書類の作成も支援しました。
証券会社による審査は2020年5月に一段落しましたが、全研本社様は上場の延期を決定しました。新型コロナウイルス感染症が拡大していたからです。同社は業績への影響を精査するとともに、コロナ禍の長期化も想定した施策も策定・実行し、2021年1月から証券会社による再審査を受審。2021年6月16日にマザーズへの上場を果たしました。
上場当日、「月並みですが、嬉しくてホッとした」という業天氏。鷲谷氏は「喜びと同時に、緊張感と責任感も高まった」といい、BBSへの感謝も言葉にしてくれました。
「BBSのコンサルティングは“教科書に書いてあることをトレースしてまとめる”ようなものではなく、当事者意識を持って業務にコミットしてくれました。視野を広く持ち、全体を俯瞰して当社が意識できていない課題にも対応してもらえた時は、本当にありがたいと思いました」(業天氏)
「お願いしたかったのは、IPOの専門家として当社の問題点を洗い出してくれること、解決策を提案して私たちと一緒に取り組んでくれることでした。頼れるパートナーとしてBBSが期待に応えてくれたことで、上場することができました」(鷲谷氏)
マザーズに上場した同社は、すでに次のステージをめざして走り出しています。その実現には、「コーポレートガバナンス・コードへの対応をはじめ、社内の管理体制全般をさらに強化しなければいけない」と鷲谷氏は語ります。あわせて、業務提携や資本提携、M&Aの検討なども今後計画していくと話します。
「こうした新たなチャレンジに立ち向かう時には、BBSに再度支援してもらい、前進していきたいと考えています」(鷲谷氏)
BBSでは、組織強化やM&Aをはじめ、お客様の成長戦略に合わせてさまざまな要望に応えるコンサルティングサービスをグループ各社とともに提供しています。今後も総合力を活かして、引き続き同社の期待に応えていきます。