ティアック株式会社
設立:1953年8月26日
本社所在地:東京都多摩市落合1丁目47番地
従業員数(連結): 666名 (2019年3月31日現在)
事業内容:音響機器事業(高級オーディオ機器、一般オーディオ機器、音楽制作・業務用オーディオ機器)、情報機器事業(航空機搭載用記録再生機器、医用画像記録再生機器、計測機器、ソリューションビジネス、産業用光ドライブ)
(写真左から)ティアック株式会社 財務部 部長 倉原良弘氏、
経営企画室経営企画課 主任 笹川広顕氏、
財務部経理課 課長 池畑麻紀氏、
経営企画室経営企画課 課長 福田浩一氏、
ティアックオンキヨーソリューションズ株式会社 アプリケーションシステム 2部 平野利昌氏
一般・業務用オーディオ機器、産業用情報機器などを開発・販売するティアック株式会社様。国内外9社の連結子会社をもつ同社では、連結会計システム「DivaSystem」を導入するとともに、管理会計のためにBIシステム「Cognos」を導入していました。しかし、子会社からのデータ取得の煩雑さをはじめ、制度連結・管理連結間の差異調整、さらには、決算処理のスピードなどに課題が生じていました。
そこで同社では、グループ内外にICTサービスを提供するティアックオンキヨーソリューションズ株式会社様とともに、「制管一致」を実現するためにデータ収集ツール「DivaSystemEIGS」を導入。BBSは、これらのシステム導入支援を通じて、効率的かつデータに基づいた経営に貢献しています。
ティアック様では、制度連結(財務会計)の効率化のために、2000年にDivaSystemを導入。さらには管理連結のためにBIツールであるCognosを導入し、詳細な分析が行える環境を整えました。
しかし、当時の業務プロセスでは、制度連結、管理連結それぞれの運用であったため課題が生じていました。
財務部で制度連結を担当する池畑麻紀氏は、「データ収集では、まず子会社からExcelに入力完了や修正予定の連絡を受け、その後メール添付で送付されるという運用でした。これでは時間もかかりますし、メールが予定どおり届かない等、リアルタイムで数字を把握できない懸念がありました」と振り返ります。
こうした子会社からのデータ取得にまつわる課題は、経営企画室で管理連結を担う笹川広顕氏も同様でした。それに加えて、制度連結と管理連結で科目のメッシュが違うことで、データに差異が発生するため、管理連結の数値を開示数値に合わせるべく、追加作業が生じることも大きな課題でした。
笹川氏は、「管理連結は月次で集計作業をしていましたが、四半期ごとに決算調整を反映し制度連結に合わせるため、都度差異を明らかにし、その原因を突き止める必要がありました。これには4日程度かかることもありました。決算期は、制度会計側での変更が度々発生し、精度の担保が困難を極めることもあったため、ストレスになっていました」と打ち明けます。
数字を迅速につかむことは的確な経営判断をするうえで必要なだけでなく、上場企業として経営状況を正しく開示するという責務からもとても重要です。そこで、前述したような課題を解決するために導入を検討したのが、DivaSystemEIGS(以下、EIGS)です。導入にあたっては、長年DivaSystemのコンサルタント業務やメンテナンス業務を委託し、同社の連結会計について精通していたBBSに提案を依頼しました。
EIGS導入による大きな狙いは、Excelでの受け渡しによる工数を削減し、入力ミスなく効率的に子会社のデータを取得すること、DivaSystemもセグメント管理を行い制管一致させ処理をスピードアップし連結決算作業を前倒しすることでした。数字確定が早期化すことによって決算開示が早まる効果が期待出来ます。
また、次のようなことも視野に入れシステム構想を進めました。
プロジェクトは2016年10月にスタート。EIGSの導入にあたり、基幹システムであるSAPとEIGSの接続、DivaSystemとCognosの接続部分を担当したのが、ティアックオンキヨーソリューションズ様です。同社アプリケーションシステム 2部の平野利昌氏は、「私たちがEIGSを使えるようになることで、制度変更や弊社特有のニーズに対応して、柔軟に直せる知見を得ることができました」と話します。
こうして、2017年6月に本稼働を迎えました。EIGSの導入によって、システム間連携ファイルやユーザー手持ちのExcel資料など、多様なデータを単一インターフェースでDivaSystemに登録できるようになりました。子会社からの情報収集が効率的かつスピーディーになったのはもちろん、メッシュを統一し、セグメント分析できるようになったことで、制度会計と管理会計が共通の視点で数字を見ることができるようになり、業績を正しく評価できるようになりました。また、開発やシステム管理の手間などのランニングコスト軽減にもつながっています。
会計の現場におけるEIGSの導入効果について池畑氏は、「EIGSは入力項目の整合性エラーがあると保存できない仕様のため、提出後に差し戻して修正を依頼する手間がなくなりました」と、親会社と子会社双方にとってメリットがあったと評価します。差し戻しが発生すると、制度会計データを待つ管理会計も影響を受けていましたが、「経営企画側から子会社のステータスや、財務部が何をしているのかわかるようになり、都度確認しなくても業務の前倒しや保留を判断できるようになりました」と、笹川氏も仕事を進めやすくなったと話します。
また、管理会計に関しては、制度会計で行われた各種決算調整処理を反映する調整作業が不要となったため、最大1週間程度を要していた調整処理がほぼ不要となりました。さらに、決算調整など調整値の内容確認が、容易で正確になりました。「管理会計にとっては、制管一致による精度担保が大きな目的でした。今回、差異調整の労力が大幅に軽減されたのがメリットです」と笹川氏が言うように、精度と効率の両面で狙いどおりの効果を得ることができました。
さらに、レポーティングについては、Formula-Xを起動することによりDivaSystemのデータ抽出およびBIフォーマットへの変換自動化を実現し、連結処理後のスムーズなBI連携が可能となりました。
「従来はCognosにデータを取得してからでなければ管理用の分析ができませんでしたが、EIGSのデータを連携してレポートを出せるため、分析までがスピーディーになりました。Cognosを維持したことで、管理用分析レポートを照会するユーザーにとってはフォームの変化がなく、業績管理、比較、推移の分析確度を保つことができました」(笹川氏)
従来、資金繰りレポートなど管理会計上の数字を変えてシミュレーションしようとしても、更新に手間がかかっていました。こうしたレポートも容易に見られるようになり、データを自由に活用できる環境が整いました。
福田氏は、「制度・管理のシステムインターフェースを刷新・統一する事による混乱を懸念していましたが、思ったほどの混乱もなく各社経理担当の負担が軽減され、働き方改革や人材配置の視点からもメリットがあり、Cognosを維持しながらの対応によって管理分析の基準を継続出来た事も効果があった」と評価します。
また、倉原氏は、「『連結決算作業完了を2日前倒しする』という大目標を達成できました。実績確定までの高速化によって、その後の作業に早く着手できるだけでなく、もう一段深掘りして分析する時間を確保することができます。決算発表で開示すべき情報が増える一方で、いちはやく情報を提供することが求められているため、この2日はとても大きな意味を持ちます」と話します。
ティアック様では今後、これまで以上にデータを活用した経営を実現するため、見たい数字を、より自由に取り出せるようにするべく次世代BIの選定も計画中です。BBSでも、データ分析やBIツールの知見をもとに、今後も同社の経営高度化に関するご支援を続けてまいります。