原価管理システムの構築

倉敷化工株式会社様

原価の“見える化”を可能にする新たな仕組みを構築し、生産性向上と的確な事業運営を実現。

原価の“見える化”を可能にする新たな仕組みを構築し、生産性向上と的確な事業運営を実現。

お客様プロフィール

倉敷化工株式会社

創立:1964年3月25日

本社所在地:岡山県倉敷市連島町矢柄四の町4630
従業員数(連結):2,825名(2019年3月末現在)
事業内容:自動車用ゴム部品、産業用防振・防音・緩衝機器の製造販売

原価管理課の皆様
原価管理課の皆様

企画本部 経営企画室 室長 水内 隆志 氏(左)、企画本部 経営企画室 原価管理課 係長 三宅 眞帆 氏(左から2人目)

概要

自動車部品事業と産業機器事業の2事業を展開する倉敷化工株式会社様は、国内各地の販売拠点のほか、倉敷化工グループとしてタイや中国など海外にも生産・販売拠点を有し、事業のさらなる拡大に注力しています。
同社はその一環として、BBSのサポートのもと製造業向けソリューション「mcframe」で新たな原価管理システムを構築。システムは2019年4月から本格稼働を開始し、同社事業の拡大に大きく貢献しています。

今後の事業拡大を見据えて原価管理の仕組みの見直しを決断

倉敷化工様は、親会社であるマツダ(株)様向けに自動車部品を供給するとともに、クルマの電動化を見据えた先進技術の開発にも取り組んでいます。また、産業機器事業では、多様な産業分野に防振・防音・緩衝関連の製品を提供し、トップクラスのシェアを持つ製品も有しています。
同社では長年、製品・仕掛品の評価を売価還元法で実施していました。そのため、「原価を積み上げ計算する」ことの必要性を感じつつも、眼前の切迫した優先課題の解決に追われ、なかなか原価管理に手を付けられないでいました。

そうした状況を変えたのは、税務当局による棚卸資産評価法への変更指導と、会計基準がIFRSへ移行しつつある外的環境でした。
同社企画本部 経営企画室 室長の水内隆志氏は、「行政の指摘やIFRSなどの“外圧”は、良い意味で仕組みを見直す好機となりました」と当時を振り返ります。

このタイミングを原価管理システム導入の最大のチャンスと捉え、経営層にその重要性を積極的に訴えたところ、昨今の市場の競争激化を背景に、自社の収益構造分析と将来の戦略決定に不可欠となる正確な原価情報の必要性を強く認識していた経営層のニーズと合致。新たな仕組みを導入することとなったのです。

会計業務とシステムの双方に精通したBBSをパートナーに選定

こうして同社は、社内各部門のメンバーで構成される「原価管理システム導入プロジェクト」を発足しました。
進捗役を務めた企画本部経営企画室 原価管理課 係長の三宅眞帆氏は「原価を“見える化”して、生産性の向上と適正な棚卸計算に資するシステムの構築を目標に設定しました」と説明します。

プロジェクトチームでは、各事業部にヒアリングし、業務フローやシステムに対するニーズを詳細に収集してRFPを策定しました。そして、その後実施されたコンペでBBSがパートナーに選定されました。

「BBSに決めた最大の理由は安心感です。社内には原価管理に精通したスタッフがほとんどいないため、パートナーは、システムはもちろん、会計業務にも精通している必要がありました。BBSのプロジェクトリーダーは公認会計士で、これは他社にない大きな強みでした」(水内氏)

「当社の現状や事業部の要望を一通り説明すれば、問題点や弱点をしっかり把握し、課題を明確にして、システム要件の形で示してくれました。運用ルールの策定やシステム化の方針も具体的に提示してくれ、自分たちのやるべきことが整理できました」(三宅氏)

汎用システムによる業務改革
「専門家の意見」に現場も納得

システム構築にあたっては、「できる限り導入するmcframeの基本仕様で対応し、カスタマイズしない」ことをポリシーとしました。
これには開発費抑制やスケジュール短縮だけでなく、汎用的なシステムに業務を合わせることで合理的に改革したいという狙いもありました。

「BBSは最初の段階で各事業部門の業務や課題を細かく分析してくれていたので、どの過程で難航しそうかも予想して対策を講じることができました。
また、多数の部門間調整が必要な時や解決困難な課題などに挑んだ時も、BBSは常に我がこととしてサポートしてくれました」(三宅氏)

新しい原価管理システムは、まず自動車部品事業部に試験導入され、2018年4月から運用を開始。産業機器事業部については、同時期に原価管理システムと連携する生産管理システム・販売管理システムが更改時期を迎えていたため、両システム導入にも原価管理としてのサポートを行いながら、その整備を待って約1年遅れでの導入となりました。
こうして2019年4月、全社での本格運用スタートによって実際原価・標準原価の把握・管理が実現したのです。

勘定明細作成業務におけるRPAの適用範囲

原価データの有用性が社内全部門に浸透

「システム導入の最も大きな成果は、経営層や事業戦略部門、開発、製造、営業など全社で『原価データは役に立つ』という認識が浸透してきたことです」と水内氏は話します。運用開始後、原価管理課が毎月開催する原価報告会は回を追うごとに参加者を増やしています。

原価管理課では現在、BIツールの導入を検討しています。「今はスタッフが手を動かしてデータを集計・分析していますので、月次報告が締日から1カ月近く遅れます。BIツールの活用で時間を短縮すると同時に、品目ごとのコスト変動グラフなど、BBSのサポートを受けながら事業部の要望に応じたデータを簡単に出せるようにしたいと考えています」(三宅氏)

さらに同社はmcframeの多言語対応機能を活かし、今後3、4年をかけて海外グループ会社への導入も構想しているといいます。
「BBSは、会社全体に良い影響を与えてくれました。その熱意に触発されてさまざまな知識・スキルを身に付けたプロジェクトメンバーたちは、今各部署で原価管理のリーダーに成長しています。
これからもぜひ、頼もしいパートナーとして協力をお願いします」。最後に水内氏はそう語ってくれました。

原価管理システムの概要

原価管理システムの概要